みんなが100年ぶりのチャンスだと言えば、ありったけのお金を集めて株式市場に投げ込み、あわてて株を買う。ほんの1カ月前は見向きもしなかった株に、怖いもの知らずで巨額を注ぎ込んでしまう。なのに計画性もないし、勉強もしない。
経済番組で耳にした銘柄に全財産を投資しようとして、1日や2日も待てず、じりじりする。こんな調子で、たった1日、あるいはたった1、2時間で銘柄を決める人なら、誰かがちょっと口を出すだけでそれに飛びつくだろう。そして株価が少し上がれば銀行利子の1年分を稼いだと喜び、その株がさらに上がれば保有し続けるものの、少し下がると怖くなって手放してしまう。そのときは売り値より下がったら買い戻すつもりだったが、実際に下落すると買う勇気も出ない。
ほかのお金まで腐ってしまう
こんな人は投資はもちろん、投機もできないし、ただ証券会社に手数料を払って取引高を増やしてやるだけで、通帳の残高がアイスクリームが溶けるように減っていくのを見ることになる。さらに、その資金のなかには来月の大学の学費や来年の結婚資金といった、時間に余裕のないお金が含まれている。
借金をして株を買ったかと思えば、2倍や3倍のレバレッジのかかった金融商品に手を出したりもする。喉元に刃物を突きつけられているようなものだ。こんなお金が混じっていたら、ほかのお金まで腐ってしまう。
サツマイモの箱のなかに1本でも腐ったものが混じっていると、臭くなって箱のなかのぜんぶのサツマイモが心配になる。
だから、周囲の自称専門家に「今後のボラティリティ(相場変動)は大きいだろうか」「明日は値上がりするだろうか」という馬鹿な質問をし、馬鹿のような回答を聞くことになる。それも焦っているからだ。
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