変態ではない!女装生活は「男性の解放」だ マッチョな俺に、さようなら

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興味深いのは、女装をやめて男性に戻るや、女装時代を知る女友達は距離を置き、行きつけのレストランのウェイターは気軽に声をかけてくれなくなるところだ。男であり女である存在から「単なる男」になったと周囲は落胆する。

女装は自由になるツールである一方、所詮、男社会の枠組みの中での一時避難にすぎないのである。「女性の解放」という言葉をよく聞くが、男性の解放はどうなっているんだ? 男が古臭い役割を自ら捨てたとき、それはいったい女性にどんな影響を与えるのだろうか。著者は思考を巡らせる。

目次だけでは啓蒙される気が起きないけれども・・・

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タイトルと表紙からは想像できないほど示唆に富んでいるが、本質的には読みながら腹を抱える本である。目次を眺めれば明らかだ。

「初めてのストッキング」「初めてのおっぱい」「初めてのむだ毛剃り」「初めての婦人科検診」「初めての女子会」などなど。目次だけではまったく啓蒙される気が起きない。

実際、男と女のオーガズムについて考えたり、クラブでナンパされたり、夜道に暴漢に襲われたり、危険な目に遭いながらも女装を全力で楽しむ姿を生き生きと描いている。それだけで梅雨の鬱屈とした気分を吹き飛ばしてくれて、こちらも元気が出てくるではないか。

栗下 直也 HONZ

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くりした なおや

1980年生まれ、東京都出身。大学院修了後、半年間の無職生活を経て、産業専門紙に記者職で拾われる。現在は電機業界を担当。HONZでは新橋ガード下系サラリーマン担当を自認する。紹介する本は社会科学系、人文系、ルポ、お酒の本が中心。

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