ブラザー・コーンさんが患った「男性乳がん」とは? 専門医「しこりがあったら乳腺外科を受診して」
同センターの希少がんセンターによると、男性乳がんは乳がん全体の約1%とされている。発症者が多いのは60~70代の高齢者で、自覚症状としては、胸や脇のしこり、乳頭からの出血、乳頭部のただれなどが挙げられている。
「四国がんセンターでは、年間の乳がんの患者登録数は350人前後。そのうち、男性乳がんの患者さんは1人か多くて2人ぐらいだった」と話すのは、約30年にわたって、四国がんセンター(愛媛県松山市)で3000人以上の乳がん患者の治療に携わってきた乳腺外科医の大住省三氏(現・松山市民病院顧問)だ。
乳がんは、乳房内の乳腺という組織から発生するが、実は女性だけでなく、男性にもある。そして、男性乳がんの場合は、診断がついた時点でやや進行していることが少なくないという。
様子を見ているうちに大きく
大住医師は言う。
「乳腺の量は女性と比べて圧倒的に少ないですから、しこりがあれば、自分で触ればすぐわかる。しかし、それが“乳がんかもしれない”と思う人は少ないので、様子を見ているうちに大きくなってしまうことが多いのではないか。乳がん検診が男性にはないのも理由でしょう」
1月20日に配信された「Yahoo!ニュース オリジナル Voice」のインタビューによると、ブラザー・コーンさんもシャワーを浴びて体を洗っているときに「左の乳首の横にごりっとするような感じのもの」があり、大学病院を受診して発覚したという。
この判断は正しい。大住医師は「男性乳がんを早期に発見するためには、男性も時々、入浴の際などに鏡で自分の胸の形を見たり、異常がないかなどを触って確認したりすることが大切。異変を感じたら、来づらいかもしれませんが、乳腺外科に来てください」と話している。
乳がんの診断は、超音波検査やマンモグラフィ(乳房レントゲン撮影)、組織を取ってきて調べる組織診などをもとに行われる。
治療は、がんの進行の程度によって異なるが、基本的には女性の乳がんと同じで、完全切除が可能であれば乳房を切除する外科手術を試み、必要に応じて薬物治療(抗がん剤や分子標的薬、ホルモン療法薬など)や、放射線治療と組み合わせる。
そして、男性乳がんのリスクファクターといえるのが、家族歴だ。
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