不動産の現物市場は過熱し局地バブルも J-REITは利回り低下で再編本格化

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――J-REIT(上場REIT)の動向についてはどのように見ていますか。東京証券取引所のREIT指数は日銀の買い支えなどもあり、上昇してきましたが、2000ポイントを付けて反落した後は、横ばいのようです。

足元では1800ポイントで推移しているが、その理由はJ-REITの投資家が値上がりを望んでいないためだ。REITは投資形態こそ株式と同じだが、利回り商品としての性格が強い。投資家は成長性よりも安定性を重視している。指数の変動要因としては、実物不動産の市況、投資家の需給関係、長期金利動向の3つがあり、いずれも現状ではプラスに働いている。需要は強いのだが、価格が上昇したことで、投資家は利回りにやや不満があり、価格を上げたくないと思っている。そうしたバランスで価格が横ばいになっている。

J-REITは割高、上位銘柄は買いづらい

J-REITの投資家構成では、投資口数ベースで35%を占める投資信託がと純粋な個人投資家の分が11%を合わせると全体の半分くらいを実質個人が支えている。REITの投信でいちばん人気が高いのが毎月分配型。いわば年金代わりにREITを運用している人が非常に多い。

地方銀行や信用金庫、労働金庫などは、地元に融資先がなく、国債の金利が潰れて運用難になっている中で、REITの運用枠を増やす方針だ。こうした投資家も利回り重視で、今の配当利回りにはやや不満なところがある。

J-REITの平均配当利回りは6月3日時点で3.14%だが、投資家は10年国債利回りとの金利差で3.0ポイント程度を望んでおり、今は2.7ポイント程度の水準で、価格は割高だと考えている。

日銀は昨年10月の追加緩和でJ-REIT購入枠を年間300億円から900億円に増やしたが、支配的地位にならない「5%ルール」の枠内で買っている。当初は時価総額に応じて買っていたが、買い入れが長期に及ぶにつれ、上位の銘柄は保有比率が4%に達して買いづらくなっている。そのため、中堅銘柄や上場から日が浅い銘柄に重点が移ってくるのではないかと見られている。

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