不動産の現物市場は過熱し局地バブルも

J-REITは利回り低下で再編本格化

東京は再開発が進む。オフィス賃料も底打ち(撮影:尾形文繁)

アベノミクスと日銀緩和マネーに支えられ、資産価格の上昇が続いている。日経平均株価は5月下旬に2万円超え、12連騰を演じる活況ぶり。不動産市場に過熱感はあるのか。高止まりしているJ-REIT市場の今後はどうか、業界の動向に詳しいみずほ証券上級研究員の石澤卓志氏に聞いた。

不動産の現物市場は過熱感が出ている

――足元の不動産市況をどのように見ていますか。

オフィスビルの賃料は2014年秋に底打ちした。東京都心5区の新築ビルの空室率はやや上昇したが、これはビルオーナーが安い賃料で貸すことをしなくなってきているからだ。住宅については新築分譲マンションの供給戸数が2014年に前年より2割減っているが、これも売れない物を造らなくなってきているからで、売れ行き自体はよい。不動産市況は全般に好調と言える。

――過熱感を懸念する声もありますが。

今年1月1日時点の公示地価で、全国の商業地が7年ぶりに下落から脱却し、横ばいになった。地価の回復傾向が鮮明になったと言える。上昇地点を見ると、銀座など地価水準がそもそも高い地点ほど上昇が目立った。7月に公表される路線価も公示地価を基準に算定されるので、同様に上がるだろう。

9月に公表される基準地価では、前年比20%以上の上昇地点が出てくるのではないかと考えている。どこかと言えば、投資が過熱しやすい条件がそろっている渋谷の近辺だろう。大手町や丸の内はビル一つひとつの規模が大きいため、投資金額が大きくなりすぎるし投資対象が少ない。それに対し、渋谷や港区の渋谷寄りのあたりは、地価が高くてもビルの規模が小さめなので、投資の総額を抑えることができるし、投資対象が多い。こういう所では投資が過熱しやすい。

地価上昇を受けて、不動産投資利回りは下がっている。日本不動産研究所によると、今年4月時点の調査で、取引利回りが3.5%まで下がってしまった。私見では、一般的に不動産賃貸が成り立つには3.5%が必要と考えており、厳しい状況だ。これを下回ると賃貸業は成り立たなくなり、転売を狙った取引が中心ということになってくる。危険水域に入ってきた。

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