マウンティングには敗北しかない確率論的理由 虚勢によって尊敬を得ることは不可能に近い

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だがここで次のような反論がありうる。

それは「人間にとっては虚勢の機能的役割ではなく、情緒的役割がより重要な意味を持っている」という反論だ。すなわち自らが相手の上位に立つこと、尊敬を勝ち取ることそのものが、虚勢を張る人々にとっての満足につながるのだという意見もあるだろう。

しかしここにも落とし穴がある。虚勢を張って相手からの尊敬を勝ち得ようとしても、虚勢自体が尊敬の土台となる友情を壊して、結果的に尊敬は得られないという陥穽・トラップだ。製品の強度を確かめるために金槌で叩いて壊してしまうようなものだ。

多くの場合、虚勢が「相手からの尊敬を得る」という目的を実現させることはない。それどころか往々にして虚勢を張った側が劣等感を抱いてしまうようになる。

大いなる誤算

たとえば「大型家具を買って搬入に苦労したエピソード」や「夜景の見える自宅でビアガーデンごっこをすることで節約したエピソード」を披露することで、さりげなくタワーマンションの高層階に住んでいることを匂わせるような人がいる。しかしそうした人は虚勢合戦に必ずいつか敗北することが宿命づけられている。

その理由は次の通りだ。

この「エピソードトーク内高級タワマン在住主張型の人」は「都心のタワーマンションの高層階に住めることは経済的・社会的な地位が上なあかしだ」という(実は全く自明ではないどころか間違ってさえいる)価値観を受け入れてしまっている。

そのため上記の価値観に染まった瞬間、同じマンションのより上層の住人や、より高級な別のマンションの住民など「同じモノサシで自分より上位の人」が確率的にいってもほぼ必ず一人以上いることになる。

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