「ビッグモーターの経営がすでに立ち行かなくなっている状況で、新たな不正請求が生じるリスクはもはやない。であれば、不正請求防止のために、損保ジャパンの業務を一部停止するという理屈が立たない。ペナルティや見せしめとして停止するというのも、おかしな話だ」
金融庁のある幹部は、一部業務停止の判断に至らなかった経緯についてそう解説する。一見もっともらしい理由だが、これはあくまで建前とみられる。
別の幹部によると、その本音は「ビッグモーターに限らず、業界の中では不正請求が蔓延している。その多くを黙認しているという構造問題にまで切り込みたくない、先送りしたいという思いがあるからだ」という。
事実、トヨタ自動車系列の販売店(ディーラー)では、事故車の修理に伴う保険金の水増し請求が多発している。そうした不適切行為を未然防止できるように牽制機能を強力に働かせ、是正できる管理体制を構築できるまでは、損保ジャパンの一部業務を停止し、新たな不正請求の発生リスクを最小化すべきだろう。業務停止とする理屈も十分に立つはずだ。
この記事は有料会員限定です
残り 896文字
