誤解だらけだった戦略コンサルティング 『コンサルティングとは何か』を書いた堀紘一氏に聞く
日本の経営戦略コンサルタントの草分けである著者が、秘話を織り込みつつ、仕事の流儀から料金体系、将来像まで書き下ろした。コンサルティングは問題解決より問題発見に重要な役割があるという。
──東京電力にこそ戦略コンサルティングが必要では。
コンサルティングは面白い商売で、本当に必要と思える企業は頼んでこない。頼むことすら思いつかないのだろう。それだけ病人より健やかな人ほど「健康診断」を受けたがるところがある。ただし東電の場合は政治マターといえる。まったく違ったロジックで動くから難しい。
──初めて戦略コンサルティングの知られざる歴史を明らかにしました。
外交文書でも50年経つと公開される。民間の秘話はどのくらいが公開期限かと考えた。10年では生々しすぎる。30年ぐらいが区切りかな、と。自分の記憶としてだいぶ薄れてきたものもある。もっと生臭い話がたくさんあることはあるが、きれい事ではない本当の話ばかりで、まして作り事は何もない。
──世の中、誤解だらけ……。
戦略コンサルティングというと、抽象的なことをやっているとか、机上の空論だとか、あるいは経営もやったことがないのに何で戦略がわかるのかとか、おっしゃる人がたくさんいる。こういう人たちは、スポーツでもコーチの役割を否定するのだろう。
──社長に辞任を要求したケースもあったようです。
あまりに生臭いのでこれについては書いていない。「社長、あなたこそが会社のがんだ」と私が言って辞めていただいた社長が、実は4人いる。相手はクライアントのトップ。それに対してきちんと物を言う。それぐらい真剣勝負でやってきた。