AIによる創作とわかると評価が下がることの意味 クオリティ以外にも評価に影響を与える要素

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たとえば、2016年には日本で、AIが執筆した『コンピュータが小説を書く日』というタイトルの小説が、日経新聞が主催する星新一賞の1次選考を通過したことで話題になりました。このAIによる小説執筆支援や自動化の試みは、2012年から公立はこだて未来大学の松原仁教授を中心とした「きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ」で行われていたものです。

2018年には、フランスのアーティスト集団「Obvious」が、GANという画像生成AIを使った作品を、「AIが描いた画期的な作品」として、有名なオークションに出品し、それが5000万円近くで落札されるという出来事も起きています。

特にこれは、ディープラーニングベースのAIで生み出された文化芸術コンテンツについて、さらにはAIの創造性について、どう考えるべきかが本格的に意識され始めるきっかけとなりました。

「組み合わせ」「探索」「革新」という3つの創造性

「創造性」というものをどうとらえるかに関しては、特にAIを絡めて論じる場合、さまざまな意見があります。「AIが創造性を持つわけがない」という意見もありますし、「AIも創造性を持つ」という意見もあります。研究者でも意見が分かれるところです。

とはいえ、あっちこっち語っていてはキリがありませんので、創造性についての比較的有名な定義・分類を挙げます。

研究やビジネスの分野で頻繁に参照されるものとして、先ほど挙げた「Computational Creativity」という研究分野で、マーガレット・ボーデンという研究者が提唱したものがあります。

ボーデンは創造性を以下の3つに分類しています。

①組み合わせ的創造性(Combinational Creativity)
②探索的創造性(Exploratory Creativity)
③革新的創造性(Transformational Creativity)

①の「組み合わせ的創造性」は、既存のアイディアや知識の組み合わせ(あるいは引き算的な考え)によって、新しいものを生み出す創造性のことです。

②の「探索的創造性」は、既存のアイディアや知識をなんらかのルールや手続きに従って探索することで、新しいものを生み出す創造性です。

③の「革新的創造性」は、既存のアイディアや知識の枠を飛び越えて、新たなルールを定義するような形で完全に新しいものを生み出す創造性を指しています。

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