"ちいかわ"ファン語るかわいいだけじゃない魅力 1話1分の世界観 サクッと癒やされ共感・共有
サクッと癒やされ、共感できるだけでなく、サクッと共有できるのもSNS発ならではだろう。大学生の女性(19)は「自分のインスタのストーリーに、ちいかわの『このシーンがよかった』と感想を書いてます」。好きになった人がシェアして、趣味嗜好の近いフォロワーに知られる。
また、解釈をめぐって、XやYouTubeのコメント欄が盛り上がることもある。ちいかわ自身は「エ?」「ヤダー!」などしか発しない。結論の説明もない。
「オチが、想像の斜め上をいっている回もあって、『どういうこと?』と考察したくなります」(ファンの女性)
考察するのも楽しいし、盛り上がりを見た人が新たなファンになっていく──。そんなSNSでの支持が「熱気」を生む。Z総研の道満綾香さんは、「100日後に死ぬワニ」でも、同じような現象が起きたと考える。2019年末からコロナ禍になった20年初めにかけて、ツイッターでの4コマの連載が話題になった同作。100日目の最終話は、180万以上のいいねを記録し、映画化された。道満さんは言う。
「当時は外出自粛中だったので、自宅で漫画を読む時間があり、毎日連載を追っていた人も多かったと思います。死を意識させるシュールな内容だから、読み終わった後も考えさせられ、ラストは『ワニはどうなっちゃったんだ』と盛り上がりました」
シニア世代もはまる
なぜSNSで盛り上がるのか。
「匿名でコメントできるSNSという環境では、意見しやすく、特にXでは不特定多数に広げやすい。いいねを押し、拡散するという日々の動作が、ファンダムになったのだと思います」(道満さん)
ファンダムとは、ファン同士が集団となり新たな文化を生み出していくこと。つまり、推したことで、「結果的に」アニメ化へとつながったのだ。そして、アニメ化されたことによってSNSを利用しない人にも認知が広がっていく。ちいかわのテレビ放送前にPARCOが期間限定のコラボカフェを開いた当時は、客層は20~30代の男女が多かったが、放送開始から徐々に60代くらいのシニア世代も目立ってきたという。PARCOのちいかわ企画担当者は言う。
「テレビアニメの影響なのか、孫がちいかわ好きで、気づいたら自分もはまっていたシニアを見かけます」
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2023年12月25日号より抜粋
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