窮地に立つ任天堂 「Wii U」で見せる執念

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想定外のWii失速 自社ソフト偏重に限界

実は任天堂の収益源はハードよりソフトにある。任天堂が“自社製ゲーム機でしかソフトを展開しない”方針を崩さぬ以上、ハードの動向はソフト、さらに業績全体に直結する。

そうした意味で累計1億4600万台を販売した「ニンテンドーDS」は特別な存在だった。04年の発売当時は2画面のタッチパネルが目新しく、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』など、新ジャンルの自社ソフトによってファンを拡大した。「もって5年」といわれるハードの寿命に達した前期も、約1億2000万本の自社ソフトを売ったほど(ピーク時は2億本弱)。全世界で100万本を超えたソフトは139タイトルにも上る。

一方、そのDSに比べても、Wiiの売れ行きはまるでジェットコースターのように、急上昇と急降下を描いてしまった。

「発売当初からWiiは、任天堂にとって最後の据置型ゲーム機になるだろう、といわれていた」。岩田社長は苦笑する。最後とはすなわち、任天堂は据置型でもう成功しない、と断じられたのだ。

Wii以前、任天堂の据置型ゲーム機は低調が続いていた。初代「ファミリーコンピュータ」と2代目「スーパーファミコン」は爆発的に売れたものの、3代目「ニンテンドウ64」と4代目「ニンテンドーゲームキューブ」では苦杯をなめた。高度なグラフィックと大人も楽しめるソフトを拡充した、SCEの「プレイステーション」が台頭。上級者に照準を合わせた任天堂は、ユーザーを奪われてしまったのだ。

だからこそ、次にWiiではその逆を行った。技術を追わず、ユニークさだけに知恵を絞った結果、テレビのリモコンのように片手で持てる、コントローラ「Wiiリモコン」が生まれたのである。家の中でスポーツ体験できる『Wii Sports』などの体感型ゲームが大ヒット。今までゲームを敬遠していた親世代などの家族全員を虜にした。Wiiの世帯当たりユーザー数は3・3人と、競合の据置型ゲーム機を大きく上回っている(下表)。


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