原発「安価」神話のウソ、強弁と楽観で作り上げた虚構、今や経済合理性はゼロ


 しかも、これまで見てきたように、バックエンド費用は明らかに過小に見積もられている。さらに言えば、事故に関する費用は、まったく含めていない。福島第一原発の事故処理、賠償、そして廃炉にかかる費用--原発の経済合理性について斟酌(しんしゃく)する余地はもはや、どこにもない。

ちなみに東京電力は、1970年度からの37年間で得た原子力事業からの利益約4兆円を一瞬にしてなくした。東電にとって原発はまったく割に合わない電源だった。

大島教授は言う。「原発の経済パフォーマンスは想像以上によくない。特に、再処理はおろかな政策であり、すぐにやめるべきだ」。

使用済み燃料を再処理して得られるMOX燃料は金額にして9000億円分に相当する。そのために、再処理に11兆円、MOX燃料加工に1・9兆円(ここでは政府試算どおり)もの費用を投下するのだ。

「おカネをドブに捨てているようなものだ。それだけの費用があれば、風力発電や太陽光発電を市場でテイクオフさせられる。立地・開発に関する補助金も、利用目的を転換していくことはできるだろう」(同)。

菅直人首相が、先月の仏ドービル・サミットで「20年代に20%にする」とブチ上げた再生可能エネルギーは、燃料費がかからない。かつ国産である。

「さらに、原子力との著しい違いは、原子力コストはこれからも上がり続けるのに対して、再生可能エネルギーのコストは下がる一方だということだ」と言う大島教授は、原子力に傾斜してきた日本のエネルギー政策を「再生可能エネルギーの成長を見過ごした産業政策の失敗」だと位置づける。

あぶり出された原子力のウソ--それは同時に、原発の真実の姿も白日の下にさらしている。そこから目をそらすことは、もうできない。

(週刊東洋経済2011年6月11日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

写真は福島第一原子力発電所1号機仮設原子炉圧力計設置作業風景(2011年6月3日 撮影場所:1号機原子炉建屋1階北側)、東京電力提供
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