「いきなり!ステーキ」は深夜も非常識だった 深夜であっても高回転が続く理由
ワインなどのお酒もメニューにあるが、深夜だからといって、アルコールの販売が伸びたということもないそうだ。ここではっきりと浮き彫りになったのが「飽くまでも、肉だけを食べるために来る」という客の特徴であり、同チェーンの存在価値だ。
「俺の」と違う点はどこなのか?
「同じように立って食べる『俺の』さんとうちとの違いは、そこにあるのだと改めて認識しました」(川野さん)。
「俺の」とは、「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」などを展開する、その名も「俺の株式会社」のことである。同社の坂本孝代表取締役のメッセージによれば、ミシュランの星つき級のシェフが調理した高級食材を、高級店の3分の1の低価格で提供しているとある。そのため、食材の原価率は60%と高いが、ほとんどを立席とすることで客の回転率を上げ、利益も確保しているようだ(同社のホームページより)。
ペッパーフードサービスの一瀬邦夫代表取締役社長も、いきなりステーキを始めるにあたり、「俺の」のシステムを参考にしたという。ライバルのような存在なわけだ。偶然にも「俺の」はいきなりステーキと同じく、ニューヨーク出店を目指しており、海外で働く人材を大募集中のようだ。
ただ、川野さんも分析する通り「お客が店に求める目的」の点で、両者はまったく違うようだ。「俺の」では、立席がほとんどだがテーブル席もあるし、店舗によっては生演奏のサービスを提供している。食事といっしょに、そこで過ごす時間や雰囲気も楽しんでもらいたい、というこだわりが感じられる。
それに対し、いきなりステーキの魅力はやはり、肉にあると言える。リピーターへのサービスとして始めた「肉マイレージカード」は、カード会員が10万人を超え、20キログラム以上を食べた「プラチナ会員」が165人を超えた。前回のレポートでお伝えしたように、100キログラムを達成した人もすでに存在する。
ちなみにプラチナ会員になると、3000円のクーポン、来店ごとにワンドリンク(アルコールも含む)サービス、誕生月に好きなステーキ400グラムプレゼント、などがある。
「カードそのものに、価値を感じてくださっているお客様が多いと感じています。財布のカードなどをしまうポケットに大事に入れている方もいらっしゃいますし」(川野さん)。
もっと上のカードを作ってくれという声も高いそうだが、プラチナ会員に提供している以上のサービスは、コストの関係から難しい。そこで、プリペイド機能を持たせるなど、カードを進化させることにした。また「肉マイレージカード」のアプリを制作中で、ランキングを記録できるようにもなる。こちらのリリースは7月1日からだそうだ。
このように、ひたすら肉を食べる店、という同チェーンの特徴が、さらに先鋭化することになる。
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