Xで話題沸騰、新たな鉄道趣味分野「着鉄」とは何か 鉄道車体と同色のファッションコーデが評判に

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こうして鉄道への興味を深めた柚子さんは、旅行の交通手段をなるべくクルマから鉄道に切り変えることになる。そして、目的地に行くこと以外にそこまでの鉄道利用も楽しみに加わったため、モチベーションが上がり旅行の頻度が上がることとなる。

特に好きなのが北海道の鉄道で、その特有の車窓と旅情、明治以降の入植と開拓の歴史に惹かれてしばしば北海道を訪れている。そうしたことから必然的に北海道のキハ40形気動車に乗る機会も多くなり、その顔やシルエットだけではなく、内装や座り心地も好きになった。

北海道旅行中は、北海道を切り開いた先人の労苦や栄枯盛衰に思いを馳せることが多いという。特に、有名な常紋トンネルを含む石北本線の上川―北見間では建設が難工事だったことや、遠軽町など沿線には開拓に苦労したという歴史があることから、そうした集落や駅、あるいは集落跡と廃止となった旧駅跡を流れゆく車窓から眺めながら、沿線の開拓と鉄道の敷設に捧げられた労苦をしのんでいる。

北海道のキハ40形をモチーフにしたコーデ

北海道好きの柚子さんは、これまで北海道を走るキハ40形の国鉄一般色、北海道色、首都圏色、宗谷線急行色などの鉄道コーデをツイッター上で発表してきた。

国鉄一般色の次に取り組んだのが北海道色コーデ。「もっとも色味に苦戦した」といい、独特の萌黄色と淡い青紫色は洋服の生地としての採用例が少ないため調達難度がとても高く、店頭やフリマアプリで服を探すのに半年ほどかけた。洋服を一度買ったものの「やはりこの色じゃないな」と没にした品もあるそうだ。

首都圏色では、唯一内装を取り入れた。首都圏色は外装が朱色一色なので朱色のワンピースにすることは早々に決めていた。しかし、「全身一色というのは芸がない」「朱色一色は旅行する恰好として浮いてしまう」と考え、キャミワンピとブラウスという合わせ方でもう一色を加える工夫をしたという。もう一色には内装から座席モケットの紺色を採用し、首都圏色を表現した。

そして2023年9月の北海道旅行ではこれまでの集大成として宗谷線急行色のコーデを発表。車体上部の黄緑帯と車体下部の赤帯を表現するために、初めて小物を取り入れるという工夫をした。宗谷線急行色で用いられている4色を表現するにあたっては、今までのようにすべて洋服の生地の色で表現するのは困難と考え小物を検討。その結果、窓上の黄緑帯は髪のリボンで、窓下の赤帯は腰のベルトで表現している。

座席モケットも表現した首都圏色コーデ(写真:柚子@_yuzu_40)
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