初詣はお寺と神社どっち?意外に知らないマナー 初詣の歴史の振り返り、お参りの正しい仕方も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一方、家長以外の家族は家にとどまります。家には新しい年になると年神さまがおいでになるからです。この年神様を家にお招きする目印が門松、家で留まられる場所が鏡餅なのです。おせち料理をつくるのは、女性も家事をせずに、年神様とゆっくりと過ごすためなのです。

そして、年神様がお帰りなると、氏神様に家長以外の家族は初めてお参りに行きます。だから、本来は松の内があけた後に近くの寺社に挨拶に行く、それとともにその年の恵方の方向にある寺社に、年神様がいらっしゃるので、そこにも挨拶に行く(恵方詣)のが習わしでした。

明治になると鉄道が開通、閑散期の正月に乗降客数をアップしようと鉄道会社が考えたのが「初詣」というイベントなのです。多くの人がお休みの正月三が日に、「鉄道にのって有名な寺社に恵方詣に出かけよう」、としかけたのです。「成田山新勝寺へ初詣に汽車で行きませんか」というキャンペーンが大ヒット。

これに続けと、全国で鉄道会社と寺社が恵方はこちらですと言い出し、かえって「恵方詣」が薄れる。方角に関係なく電車にのって正月三が日中心に有名な寺社に参るという「初詣」が、新たな日本人の習慣となっていったのでした。

参拝するのは神社でもお寺でもOK?

今まで、寺社と書いてきたので、読者の中には、「初詣は寺でも神社でもいいの?」と疑問を持たれていた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 実はどちらに参られるのもOKなのです。

今のように、寺と神社の役割を分けだしたのは、明治時代の神仏分離令からです。明治政府は神道を国教化してその威信で政治力を高めようとしました。結果として神道を基本とする神社と仏教を基本とする寺は分けられたのです。

それまでは、寺の中に鳥居があり、神社の中に三重や五重の塔があるように、互いの役割を補完しあっていました。そもそも万物に神様を感じ八百万の神を信仰する日本人にとってどんな神仏をまつっているかは、それほど重要ではなかったのです。

神仏分離以降は、神社は神様をまつっている、寺は仏様をまつり死者を弔う場というすみ分けができたので、初詣は神社に行くという人が多くなりました。でも、川崎大師や浅草寺など、今でもお寺に初詣に参る方もかなりあります。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事