新聞記事を社内ネットで閲覧するのは違法行為か? デジタル時代、企業の情報収集に潜む落とし穴

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実際、ある鉄道会社が訴訟を起こされたことがあります。新聞社に許諾を得ることなく一部の記事を切り抜き、それをスキャンして画像データにし、社内イントラネットで従業員が閲覧できるようにした行為が複製権及び公衆送信権を侵害するとして、損害賠償の支払い等を求められたのです。

オンラインで配信される記事も「著作物」

鉄道会社は「新聞記事は事実の伝達にすぎず、著作物とはいえない」などと主張して争いましたが、最終的には 190 万円の賠償を命じられました。判決は「掲載された記事は、相当量の情報をわかりやすく整理し伝えるなど、表現上の工夫がされていて、著作物と認められる。イントラネットに掲載したことは、著作権の侵害にあたる」というものでした。

毎朝、当たり前のように届けられる新聞が「著作物」である、という意識は持ちにくいかもしれません。鉄道会社の事例は、それが落とし穴になったものです。

新聞記事も、今はオンラインで配信されますから、ハサミとノリで手作業するスクラップはコピー&ペーストに置き換わっているかもしれません。でも、たとえ形態は変わったとしても、記事が著作物であるという事実は変わりません。

総務や広報担当者は、そのことを意識して情報収集を行う必要があります。日常業務でうっかり著作権侵害していないか、一度社内で確認することをお勧めします。

(構成:間杉俊彦)

北田 明子 広報・PR、危機管理広報アドバイザー

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きただ あきこ / Akiko Kitada

大学卒業後、1983年大阪読売新聞社入社。89年同社退職後イギリスに留学。帰国後フリーランスの経済誌記者などを経て、2001年対中国投資コンサル会社の副総経理として中国に駐在。05年に帰国後、危機管理広報を中心とした広報アドバイザーとして活動。11年民間から大阪市交通局の広報課長に就任。19年堺市の広報戦略専門官に就任。22年に堺市を退職後は文筆活動のかたわら、民間や自治体の広報アドバイザーとして活動中。22年より滋賀県公文書管理・個人情報保護・情報公開審議会委員。主な著書に『笑うヤミ金融』(ダイヤモンド社)、『企業法務と広報』(共著・民事法研究会)、『企業の法務リスク』(共著・民事法研究会)がある。

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