アイドルマスターが「巨大IP」に飛躍を遂げた必然 ゲーム起点にマルチ展開、パートナーも拡大

拡大
縮小

新技術を駆使した体験の進化とともに、直近で動きが顕著になっているのが、行政などのライセンスパートナーとの取り組みだ。

アイドルマスターシリーズ全体では、現在300人以上のアイドルが存在する。それぞれに異なる個性やストーリー、バックグラウンドがあるため、パートナーの特性に適応しやすい。ライセンスパートナー件数は年間数十%ペースで増えており、観光大使就任など地方創生の分野での協業もある。

ファンの熱量維持に重要なことは?

活躍の場が一段と広がる一方で、チャレンジングなIP展開により、これまで楽しんできたコンテンツの変化を懸念する既存のファンもいるだろう。こうした変化とファンの熱量を両立するために重要なこととして、波多野氏は「プロデューサー(ユーザー)との継続的なコミュニケーション」だと話す。

「アイドルプロデュース体験という軸がぶれなければ、どんどんチャレンジしていきたい。一方で18年間支えてくれたプロデューサーさんもかなり多く、納得感を得て、応援していただけるようなコミュニケーションの取り方を、運営チーム一同、考えてやっていきたい」(波多野氏)

2023年は3.0 VISIONはじまりの年として、さまざまな取り組みに着手した年だった。2024年以降はこれまでのライブやゲームなどの事業をしっかり進めつつ、IPを広げていくため3.0 VISIONで注力する複合現実などの領域に積極的に挑戦するという。

長年のファンからの支持を強固にしつつ、ビジネスの裾野をどこまで広げられるか。アイドルマスターの挑戦はまだまだ続きそうだ。

武山 隼大 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たけやま はやた / Hayata Takeyama

岐阜県出身。東京外国語大学国際社会学部モンゴル語専攻卒。在学中に西モンゴル・ホブド大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在ゲーム・玩具業界を担当。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT