「5浪早稲田」彼が選んだ"妖怪絵本作家"という道 人生を変えた沢木耕太郎さんとのエピソードも

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「保育園の年長くらいのときに、水木しげるさんの『妖怪《世界編》入門』を読んで、世の中にはこんな妖怪がいるんだって衝撃を受けたんです。

例えば、僕のいた岐阜にはかまいたちが出ると書いてありました。小さい頃、転んで病院で5針縫う大怪我をしたことがあるのですが、不思議なことに血が出なかったんです。先生にその理由を聞いたら『かまいたちに足を切られたんだよ』と言われ、これがそうなんだと思いました」

「家の中で人魂を見た」こともあった加藤さんは、それからも山の奥の家でその本を読む日が続いたそうです。しかし、ある日突然岐阜県の大自然の中での生活は終わりを告げます。

「小学校3年生のとき、祖父の建設会社が倒産するんです。いきなり授業中にすごい形相の母親が迎えに来て、そのまま夜逃げならぬ昼逃げをして、愛知県豊田市に引っ越しました」

一見悲惨な境遇に思えますが、それでも彼は「テレビで見るケンタッキーがある!」と喜び、都会での生活にすぐになじんだそうです。

そんな彼の成績は、つねに真ん中くらいで、体育と音楽は5段階で1だったものの、美術と社会は5と非凡な才能を発揮していました。

高校で大きく成績を落とした

そのまま豊田市の公立中学校に進んだ加藤さんは、学校が荒れていたこともあり、「大人しくていじめられていた」と語ります。

当時の彼の居場所は空想の世界。作家になりたいと思い、1人でよく漫画を書いていたそうです。勉強面に関してはまずまずで、約300人中100番くらいの成績を維持した彼は、そのまま高校受験に挑み、進学校の豊田南高等学校へ進学しました。

しかし高校では成績を大きく落とし、「高校に入ったらみんなとても勉強していたこともあり、成績は学年でビリから3番目くらいでした」と彼は語ります。

「悔しかったから、世界史だけは頑張って学年1番になった」そうですが、それでもそのほかの科目の成績は低い順位でした。そんな彼が大学進学を意識し始めたのは、高3になってからだったそうです。

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