井上:なるほど。これがアーリーに対して推論型の投資を行うということですね。他にも、同様の事例があるのでしょうか。
瀧口:今ちょうどAI投資していますが、実は、私たちは第1世代のAIには投資しませんでした。第1世代は、整理されたデータの中でしか答えを導き出せなかった。データ解析の延長線にあり、世の中を変えるまでには至らないと思いました。
私たちの社会に大きく影響するのは何かというと、第2世代のAIで、生成型AIの先にあるものです。それは推論型のAIであり、それが出てくるまでは投資をしないと決めていました。
世間ではChatGPTに大騒ぎしていますが、これだけでは用途が限られる。そこに経験値や、特別な技術など、何かをぶつけて推論できるぐらいのAIでなければ社会にインパクトをもたらさないという世界観を持っていました。
第2世代AIに投資を決めた理由
今、ちょうど推論型のAIが出始めているので、アメリカのAIカンパニー2社に投資しました。
その1つの例がNovityというゼロックスの研究組織PARCからスピンアウトしたベンチャーです。現在、石油の掘削などのコンビナート工場のデータを解析して故障を予知しています。
かつて第1世代のAIで工場のデータを取って故障を予測しようとしたのですが、うまくいかなかった。データが限られていたので、どのような故障が起きるかを予測できなかったのです。
なぜ私たちがNovityに投資したかというと、そのAIに「モデルベース推論」という新しい技術が追加されたからです。前提をおきながら演繹的に推論しますから、膨大なデータは不要です。
第1世代のAIの失敗を知っている人たちからは「なんでそんな会社に投資するのか」と聞かれました。私たちとしては、そんな推論型AIが発達すると考えていたわけです。だからやっと投資できるタイミングになりました。
AIがホットだと言っても、一般の日本のベンチャーキャピタルさんが見ているところと違うと思います。
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