クリスマスに100万台売る「ケーキ王」強さの源泉 シャトレーゼ創業会長が語る「驚きの生産現場」

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――ホテルやゴルフ場の再生事業も手がけています。菓子事業とどのようなシナジーがありますか。

ゴルフ場ではデザートをサービスしており、シャトレーゼの宣伝にもなっている。食事の後にデザートを食べる習慣が身につき、他のゴルフ場に行った後にシャトレーゼにお菓子を買いに来てくれることもあるほどだ。

買収した旅館のメインエントランスに「YATSUDOKI」を構えたことで、来客数が増えた(撮影:尾形文繁)

ホテルはチェックアウトからチェックインまでがらがらだった。そこで、(ホテルに店舗を併設するなどして)われわれの商品を提供すると、すぐ利益がでるようになった。この業界の中でシャトレーゼが果たす仕事があると感じた。

また、お客様に山梨へ来ていただき、シャトレーゼの仕事をみてもらう「シャトレーゼ体感ツアー」をやっている。ホテルでのお菓子づくり体験、契約農家での果物の収穫などが人気だ。シャトレーゼのこだわりに共感してもらうのが大事だ。

海外店舗数は万単位まで増やしたい

――およそ20年後に売り上げ1兆円を目指していますが、達成できれば世界一ですか?

もちろんだ。大きく伸ばせるのは海外。海外での売り上げはまだ少ないが、20年後には7000億円を目指す。とくにアジアは人口が多く、現地工場のあるインドネシアだけでも約2億7000万人だ。若い人も多く、経済成長により毎年生活が豊かになっている。

――どのように食い込んでいきますか。

それは簡単。シャトレーゼが日本でやってきたことと同じようにやるだけだ。まずは、値段を安くするのが第一条件。そのためには現地生産が重要だ。インドネシアのほかに、ベトナムとオランダに工場があるが、他の地域にも工場を作る。海外店舗数は現在190店だが、万単位まで増やしたい。一番大きな課題は、原材料をどう調達するかだ。例えば酪農や養鶏は高冷地でないとできない。オセアニアや欧州などから調達することになると思う。

――国内は3000億円を目指すとすると、現状の約3倍です。

店舗は2000~2500店くらいまであれば大丈夫。人口5万人に対して1店舗を目安に、郊外だけでなく都心でも出店していく。郊外は周りに店が少ないので、百貨店式にアイテムを増やすことで来てもらう。都会は他のお菓子屋さんも周囲にたくさんある中で出店することになるので、商品数を絞って他のお菓子屋さんが出していない商品を出していくことが大事になる。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。報道部、『会社四季報』編集部を経て、現在は会社四季報オンライン編集部。食品業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、ドローン、医療機器など。趣味は東洋武術。

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