クリスマスに100万台売る「ケーキ王」強さの源泉 シャトレーゼ創業会長が語る「驚きの生産現場」

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――順調に業績を拡大できている、一番の要因は何でしょうか。

利益を上げようとするのではなく、お客様に喜んでもらおうと思ってやってきた結果。お客様に一番喜ばれているのは安さ。コロナ禍では、今まで町に出て行って百貨店などで買っていたお客様が、家の近くにあるシャトレーゼの店で商品を買って「安いのに美味しい」と見直してくれた。

昨今は原材料費が上がっており、卵不足は本当に参った。できるだけがまんしたが、シュークリームやプリンなどの一部商品を少し値上げした。ただ、われわれは全国で展開しているので、合理化できる部分がまだたくさんある。無駄を解消するのがわれわれの仕事なのでいいチャンスだと思っている。

売れる商品は機械で量産

――卵や牛乳、水など素材にこだわっています。それでも安さを維持できる秘訣は?

生産面では製造工程の機械化・ロボット化を進めていることだ。人手より衛生的にもよく、残業代もかからない。

齊藤寛(さいとう・ひろし)/シャトレーゼホールディングス、シャトレーゼ代表取締役会長。1934年、山梨県生まれ。1954年に焼き菓子店「甘太郎」を創業。1964年に「大和アイス」を設立。1967年に2社を統合しシャトレーゼに社名変更。2010年シャトレーゼホールディングスに商号変更し社長に就任、シャトレーゼを新設分割。2018年から現職(撮影:尾形文繁)
 

シャトレーゼの商品は、最初はすべて工場のパティシエ集団が手作りしている。お客様に提供してみて「これは売れる」となると機械で量産する。専用の機械は売っていないので、自分たちで考えるしかない。そのノウハウがシャトレーゼの強みだ。人と人の間に入って作業する協働ロボットなども活用し、山梨県の豊富工場ではスマート工場化を進めている。

また、問屋を通さず、契約農家や農場から原材料を直接仕入れ、工場から店舗へ直接配送しているため、中間マージンをとられないことも大きい。

――全国的に店舗が増えると、直接仕入れ・配送を続けるのは大変では?

かえって量が増えたほうが楽だ。少ないと農家は相手にしてくれないし、量があるからロボットを導入できる。物流もスポットではなく年間を通してお願いしているので問題ない。好循環が生まれる非常に良い状態になっている。ここまでくるのが大変だったが。

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