ワンソース・マルチユース、マルチプラットフォームを軸に新型ハード、オンラインの両面展開に挑む--辻本春弘・カプコン社長
--業界のトレンドを受け、まず、従来の「パッケージ型市場(売り切り型のゲームソフトの市場)」において、カプコンはどのような戦略で対応するか。
大きく2つある。1つ目は「ワンコンテンツ・マルチユース」戦略だ。ゲームソフトにとどまらず、映画やアニメ、グッズなど多方面へ展開させていくことで、コンテンツ自体を廃れさせないことが狙いだ。たとえば “歴女”ブームの火付け役ともなった「戦国BASARA」は、テレビアニメのほか、JTBと連携した旅行ツアーへと展開している。
2つ目は「マルチプラットフォーム」戦略だ。1つのコンテンツを複数のプラットフォームで展開するということだ。魅力的なハードが多数出てきており、積極的に展開を進めていきたいと考えている。これには、カプコン独自の「MTフレームワーク」の技術が大いに活用できる。Xbox360やプレーステーション3(PS3)、PCオンラインなど向けのゲームを、途中の段階まで共通して開発できる技術だ。これにより、最小限の開発資源で、幅広い展開が可能になる。
--具体的に、SCEが年末に発売する携帯型ゲーム機「PSVita」と、任天堂が12年中に発売する据置型ゲーム機「WiiU」での展開をどのように予定しているか。
PSVitaについては、(SCE開催の)プレスカンファレンスでも、新作の格闘ゲーム「ストリートファイターX(クロス)鉄拳」の開発を公表した。発売日などは未定だが、鋭意開発を進めている。ほかにも、新しく搭載される携帯電話回線(3G/Wi-Fiモデル)を活用したゲームを積極的に開発したい。
WiiUも魅力的なハードだ。WiiUの特長である、手元のコントローラパネル画面(※3)を生かし、カプコンの得意とするアクションゲームを展開していきたい。