がん治療に進展?新薬がもたらす延命効果 膨らむ「チェックポイント阻害薬」への期待

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ASCO年次総会で発表された研究では、オプジーボには非小細胞肺がん(扁平上皮がん以外の肺がんの多くを占める)の患者の生存期間を伸ばす効果があったことが示された。

化学療法の薬、ドセタキセルを投与された患者の全生存期間の中央値が9.4カ月だったのに対し、オプジーボを投与された患者は12.2カ月だったという。そのうえ、副作用はオプジーボのほうがずっと少なかった。

腫瘍にPD-L1というタンパク質(特定のチェックポイント阻害薬が効果を上げるだろうことを示すもうひとつの物質)が発現している患者であれば、予後はさらによくなる。そうした患者では、ドセタキセルを投与されている場合の全生存期間の中央値が9カ月なのに対し、オプジーボを投与されている場合には17.2カ月だった。

「無作為化試験だと、みんなこの種の違いには気がつかなかっただろうと思う」と、デーナ・ファーバーがん研究所(ボストン)のパシ・ジャンヌ博士は言う。ジャンヌ博士は肺がんの専門家だが、この研究には参加していない。

今夏、非小細胞肺がんの治療薬として承認申請予定

ブリストル・マイヤーズが資金を出した臨床試験は、プラチナ製剤による化学療法での治療をすでに受けた進行がんの患者582人を対象に行われた。今年夏、同社は非小細胞肺がんの治療薬としてもオプジーボの承認を申請する予定だ。

ASCO年次総会で発表された他の研究では、オプジーボの投与により進行肝がんの患者の19%で、キートルーダの投与により頭部や頸部のがんの患者の25%で、腫瘍がかなり縮小することが確認されたという。ちなみに現時点で肝がんの治療薬としてFDAから承認されているのはバイエルとアムジェンが開発したネクサバールしかない。

チェックポイント阻害薬が腎臓がん、膀胱がん、胃がんなどのがんの一部の患者にも効果がある可能性を示す研究もあった。だが大腸がんや前立腺がん、すい臓がんへの効果を示す証拠はほとんど見つかっていない。

では、チェックポイント阻害薬が非常によく効くがんと、そうでないがんがあるのはなぜだろう。

ひとつの考え方としては、肺がんや悪性黒色腫はしばしば、タバコの煙や紫外線といったDNAにダメージを与えるものが原因で起こる。だから「1つの腫瘍につき何百もの変異がみられる」とディアス准教授は言う。これは他の腫瘍よりも多い数字だ。そのために免疫系が、がん細胞を破壊すべき相手だと容易に認識できるのかもしれない。

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