イオンモールに「商工会議所」が出店した深い理由 東三河ブランド店「豊穣屋」月間売上500万以上
「いちばんの特徴は食感です。コリコリしているイメージがあると思いますが、『木耳のお店』のきくらげはプルンプルンなんです。餃子に入れると、とても心地よいアクセントになるんです。『きくらげ餃子』は本当によく売れていますよ」(鈴木さん)
建設反対から共存共栄へ
イオンモール豊川が建つ場所は、日立製作所とスズキの豊川工場の跡地。日立は2016年3月、スズキは2018年7月に閉鎖し、当時の豊川市長が市議会で跡地に商業施設を誘致する方向でイオンモールと協議中である旨を発表した。
「6、7年前にイオンモールを建設するという話がありました。地元の商工業の振興が商工会議所の役割ですから、大型ショッピングセンターの出店は反対の立場だったんです。また、イオンモールの建設予定地のすぐ隣には市民病院があり、渋滞で病人の到着が遅れたらという懸念もありました」と、話すのは豊川商工会議所の小野喜明会頭だ。
実際、2016年8月には中小小売業者に影響が出るとして豊川市長に対して豊川商工会議所会頭名で懸念を表明した。さらに2018年6月にはイオンモールが公表した売場面積に対して反対する旨を発表するも、計画はどんどん進められていき、2019年8月に開かれた豊川市都市計画審議会において建設予定地の用途変更が承認され、事実上、イオンモールの進出が決定した。
豊川商工会議所はその決定を受けて、共存共栄を表明。今後のまちづくりを調査・研究する「にぎわい創出委員会」を設立した。イオンモールが進出した富山県高岡市や長野県松本市への視察や、事業者に対して影響度調査等を実施した。
「イオンモールと地元事業者による連絡調整会議も設立しました。そこで地元業者への支援策をまとめて提言書を豊川市長に提出しました。提言書にはイオンモールのテナント出店への補助や支援のほか、強い商業者育成の商人(あきんど)塾の設置や、地元事業者の商品開発や販売促進など新規事業への支援なども明記しました」(小野会頭)
イオンモール豊川の建設工事が始まったのは、2021年8月。その翌月に豊川市からモール内にオープンする豊川ブランドショップを豊川商工会議所で運営できないかという打診があり、店舗のコンセプトやデザイン、出店者の募集方法、事業委託者の選定について協議した。それは開店直前の2023年3月まで実に計46回もの打ち合わせを行ったという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら