迫る物流「2024年問題」運転手不足が追い打ち 残業時間の上限規制で物流コスト上昇の公算

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(撮影:今井康一)

日本のトラック運送業界では2024年春から運転手の時間外労働に関する規制が強化される。人手不足が深刻化し、工場への部品やスーパーマーケットへの生鮮食品など、さまざまな物流の遅れが全国的に生じる恐れがある。

日本の運送業界は、トラックで物資を運ぶために長時間残業をこなす低賃金の労働者に長年頼ってきた。18年の働き方改革関連法の成立に伴い、来年4月からトラック運転手の時間外労働に年960時間の上限が適用されるため、この状況が変化する。

同規制の強化は、ワークライフバランスや健康の改善を目的としているものの、現在の人手不足をさらに悪化させる可能性もある。政府は対策費として29日にも成立する今年度補正予算案に約160億円を計上している。

時間外労働時間が年960時間を超えるドライバーの割合

高齢化が進む日本では、観光業から建設業までさまざまな業種で慢性的な労働力不足が生じている。残業時間の上限規制で物流コストが上昇する公算が大きく、岸田文雄内閣の支持率低下の一因となっている物価高を助長する可能性が高い。一般会計総額で13.2兆円となる今年度補正予算は、歴史的な物価高による痛みを和らげることが主な狙いだ。

全日本トラック協会の調査によると、22年10月時点で時間外労働時間が年960時間を超えるドライバーが「いる」と回答した事業者の割合は30%近くに上った。野村総合研究所の試算では、物流の24年問題を加味すると、30年には運転手不足により全国の約35%の荷物が運べなくなる可能性がある。

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