東海道新幹線が大雨で運転をやめる「4つの基準」 いつ停まる?どうして停まる?解除はいつ?
JR東海の新幹線鉄道事業本部で施設部工事課長を務める梅田博志氏はこう説明する。
「2003年までに盛り土などへの補強対策は一段落した。その後も日々の点検によって、対策の機能を維持しており、不具合があれば修繕して対処する」。
そうした点検を行うのは、JR東海の工務担当者たちである。カメラやセンサーのみに頼ることなく、目視で異常がないかを現地で確認する。
「1時間雨量が60ミリ以上」などで運転見合わせ
降雨による運転規制はJR東海の場合、①1時間雨量が60ミリメートル以上、②1時間雨量が40ミリメートル以上かつ24時間雨量が150ミリメートル以上、③24時間雨量が300ミリメートル以上かつ10分間雨量が2ミリメートル以上の3段階がある。沿線に設置した59カ所の雨量計でどれか1つでも規制値に達したら運転を見合わせる(それ未満の雨量では速度規制)。
さらには一層の安全確保を目指して、線路から離れた場所を発生源とする土石流に備えるため、土砂災害の発生危険度を把握した「土壌雨量指数」も導入。1964年の開業時は1時間雨量が20ミリメートル以上で運転が規制されていたが、2003年には同60ミリメートル以上まで伸びたのは、対策強化の賜物といえよう。
雨がやんだ後で運転規制の解除を見極めるのも人の力だ。バラストが流れていないか、盛り土から水があふれていないか、周辺の山に異常はないか。線路脇を巡回しながら目で見て、音に気を配り、匂いを感じながら、異常の有無を確認していく。まさに経験値がモノをいう世界だ。
ちなみに国土交通省は2019年7月、鉄道会社の「計画運休」について、利用者への情報提供のあり方などを中心に最終取りまとめを発表。指針となる「情報提供タイムライン」のモデルケースを作成した。それによると、計画運休実施の48時間前には、ウエブやSNS、駅掲示で、計画運休の可能性について情報提供をすることになっている。同24時間前には、「〇月〇日に計画運休」と詳細な情報を提供、随時更新し、その後、当日も計画運休の詳細な情報を提供。そして実際に台風が通過したら、明日以降の運転再開見込みについて情報提供をする、というのが段取りである。
2024年春には東海道新幹線の喫煙ルームがすべて廃止されるが、JR東海によると、空いたスペースには座席定員分の非常用飲料水が配備されるという。大雨などを受け、駅以外の場所に長時間停車した際に配布されるわけで、乗客にとっては安心材料がもう1つ増えることになる。
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