新NISAで初心者が知ると役立つ「株式分割の意味」 個人投資家にとってどんなメリットがあるのか

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例えば、ある会社の株価が3万円だったとしましょう。株式は1株だけ買うことができません。最低でも100株の単位でしか買えないのです。となると、3万円×100株=300万円が必要な金額になります。新NISAでは年間で許容される限度額は240万円ですから、この3万円の株はNISA枠の範囲に収まることができません。

しかし、この会社が1株→10株とする株式分割を行った場合どうでしょうか。3万円の株が10分割されると、3万円÷10=3000円となります。この場合の最低投資金額は3000円×100株=30万円です。NISA枠に収まる範囲で買うことができます。それに、他に買いたい銘柄のための、210万円(240万円-30万円)の十分な枠を残すこともできるのです。

過去に株式分割した会社の株価の推移

新NISAとの関係で捉えなくても、最低投資金額が小さければ、投資家にとって買いやすい株式になります。「値上がりしたらありがたいけれども、もしかしたら値下がりするかもしれない」というリスクが高い株に、いきなり大きなお金を投資するのは気が引ける方も少なくないでしょう。

株式分割は株式の評価額が変わるわけではなく経済的価値に変化はないのですが、とりわけ個人投資家にとっては投資先の候補と考えやすくなることがメリットです。その株式を買いたいと考える機会を持つ投資家が増えれば、株式の買い需要も増えて、株高にもつながる可能性があります。

そこで過去に株式分割した会社の株価がどのように推移しているのか検証してみました。分析の対象銘柄は2017年4月から2023年10月までの間に株式分割を発表した企業としています。それぞれについて分割日以降の日次ベースで株式の“超過”収益率を累積しました。

分割日は専門的には「権利落ち日」ですが、ここではわかりやすく分割日と呼びます。超過収益率はTOPIX(東証株価指数)の構成銘柄の株式の収益率を単純平均したものに対する「超過」を計算しています。超過の収益率を使った理由は、単純な平均に比べて株式分割した会社の株価がどのように推移したかを見るためです。

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