「社員の異動希望」に対する人事担当者の胸の内 人事異動における3つの「大事なポイント」
本人が希望しても、異動先の部署がそれを望まないこともあります。そういう場合は「Aさんを異動させますから、Bさんも引き受けてもらえませんか」と異動先の部署が望む人材とセットでの異動を提案します。
上長を説得するだけでは難しい場合は、経営者に裏から手を回して、直接訴えかけたりすることも必要です。そうして少しずつでも個々の願いを叶えていけば、本当に会社の空気がガラッと変わります。「社員の希望を叶えるために人事が頑張っている」という認識が広まっていくことは、会社への信頼にも繋がるのです。
② 一人ひとりの中長期的なキャリアパスを考える
人事担当者がやるべきことの2つ目は、社員一人ひとりが成長できるキャリアパスを考えること。人事異動の基本は「本人の希望」ですが、それぞれの将来を考え、人事から提案することも必要です。
本人が異動を希望していなくても、会社や世の中の変化によって、その部署の必要性がなくなることもあります。そのまま同じ仕事を続けていければいいのですが、そうなるとは限りません。仕事そのものがなくなってしまったら悲劇です。ずっと同じ仕事を続けていると、他で使い物にならなくなるリスクがあるのです。
「このままこの部署にいたいです」という人を無理に動かす必要はありませんが、それぞれの中長期的なキャリアを考え、そのうえで人事異動のプランを考え、経営者や部門長、管理職などに提案していく。これもまた人事の重要な役割です。
特に将来的に経営を担える人材は、さまざまな部署を経験させる必要があります。それが営業部門のエースであっても一回現場から離して管理部門に異動させたり、営業→企画→人事といった異動ローテーションを組んであげることも大事です。
また、現場で長年店長をやっていた人は、BtoCに慣れすぎてしまって、BtoBができなくなったりします。そこに浸かり切ってしまう前に異動させなくてはいけません。経営や現場に反対されても、喧嘩してでも説得する。これも人事の役割です。
異動によって様々な経験を積ませていくローテーション人事と、中長期的な展望を持って個々の人材育成を考えるパーソナルな人事。人事担当者は、どちらの視点も持つべきでしょう。