カーブ克服して速度アップ「振り子式車両」の進化 新技術搭載の「やくも」は従来車とどう違う?
JR東日本の新幹線も、2011年3月に営業運転を開始したE5系と2013年3月運行開始のE6系に空気バネストローク式車体傾斜装置を搭載。半径4000m以上の曲線区間で車体を2度傾斜させることで、最高時速320km運転を実現している。北海道新幹線開業時に登場したJR北海道H5系はE5系の兄弟車で、当然ながら車体傾斜装置を搭載。JR北海道としては一旦消滅した車体傾斜装置搭載車の復活となった。
2014年にはJR四国が空気バネストローク式車体傾斜装置を搭載した8600系を予讃線に導入した。予讃線ではすでに制御付き自然振り子方式の車両運行しているため、線路マップを搭載して車体傾斜をアクティブに制御。バックアップ用にジャイロも搭載している。車体傾斜角度は2度だが、遠心力を0.1Gに許容し、さらに制御を緻密に行うことで、制御付き自然振り子方式の8000系と同じ曲線通過速度と所要時間で運行している。
なお、8600系は試験走行中の空気の消費量が想定以上だったことが分かったため、空気タンクの容量を増加させ、車体を傾斜させる区間の見直しを図った。
空気バネ式は不向きな路線も
実はこの空気消費量が空気バネストローク式車体傾斜装置導入のカギとなっている。2017年に土讃線・高徳線向けに製造した空気バネストローク式の2600系は、土讃線内での空気消費量に空気タンクの容量が追いつかず量産を断念し、同線向けとしては制御付き自然振り子方式の2700系を導入した。2600系は線形がよい高徳線で限定運用している。
新幹線で空気バネストローク式車体傾斜装置を採用したJR東日本は、在来線でも同装置を搭載したE353系を2015年に製造した。E353系の投入線区である中央東線は制御付き自然振り子車両のE351系を運用していたため、マップ式車体傾斜装置を搭載。車体傾斜角度は1.5度とし、約2年間の試験走行で車体傾斜のロジックを入念にチューニングして、2017年から営業運転を開始。E351系と同じ所要時間を実現した。
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