JR上場4社、通期予想に「上振れ余地」があるのは? 2024年3月期の収入や費用見通し、保守的な例も
通期の業績予想は、売上高2兆6960億円、営業利益2700億円の予想を変更していない。第2四半期の営業利益は通期予想の71%まで達しているのに、なぜ据え置きなのか。
この理由について、会社側は非鉄道事業、とくに流通・サービス事業と不動産・ホテル事業の進捗が遅れている点を挙げている。モビリティ業は第2四半期時点ですでに通期計画を上回る利益を上げているが、非鉄道事業の進捗率は5割に達していない。第2四半期時点で好調な運輸事業にしても下期に修繕費が大きく増えることから慎重にみているようだ。会社側は「実際の利益が通期計画から大きく乖離することはない」としている。
しかし、「大きく乖離することはない」を深読みすると「若干の乖離幅はある」と受けとめることができる。取引所の基準では新たに算出された業績予想については、売上高については直近の予想値から上下1割以内、営業利益は同3割以内であれば開示の必要がない。つまり、修正はしないものの、営業利益には最大3割以内の上振れ余地はあると考えることもできる。
JR九州、運輸業急回復でも慎重
最後に11月7日に決算を発表したJR九州である。JR九州の2024年3月期第2四半期決算は売上高が前年同期比112.1%の1907億円、営業利益が同239.8%の268億円だった。JR本州3社と比べると売上高の増加率がやや低いが、この理由は事業構造の違いによるものだ。
JR九州は不動産・ホテルなど非鉄道事業の比重が本州3社よりも高い。とくに不動産はコロナ禍の影響が比較的軽微であり、コロナ禍においても一定の収益を上げてJR九州を支えてきた。また、上期は不動産販売物件が前年同期より少ないという事情もあった。そのため、コロナ収束により運輸サービス事業が前年同期比125.1%と急回復した反面、不動産・ホテル事業の伸びが105.0%と見劣りしてしまった。
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