JR上場4社、通期予想に「上振れ余地」があるのは? 2024年3月期の収入や費用見通し、保守的な例も

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好調な第2四半期決算を踏まえ、JR東海は2024年3月期の業績予想を上方修正した。当初の予想は売上高1兆5660億円、営業利益4300億円だったが、売上高を1兆6270億円、営業利益を5020億円に引き上げた。上期の運輸収入が想定よりも7ポイント上振れしたことが主な理由だ。

ただ、下期の想定は2019年3月期比90%のまま変えていない。しかし、10月の新幹線の利用状況は平日92%、土休日99%、合計97%と想定を上回っている。11月の利用状況(11月15日時点)はさらに伸びて平日93%、土休日108%、合計100%とコロナ前の状況に戻っている。下期90%という想定は保守的かもしれない。このペースが続くとしたら、売上高と営業利益にはさらに上振れる余地がある。

JR西日本はインバウンドが貢献

続いて、10月31日に決算を発表したJR西日本とJR東日本である。

JR西日本の2024年3月期第2四半期決算は売上高が前年同期比124.8%の7699億円、営業利益が同314.0%の1062億円だった。運輸収入の想定を山陽新幹線と近畿圏在来線を例にとって説明すると、山陽新幹線は期初に2019年3月期比84%でスタートして、夏場から回復基調に入り期末に90%に達する、近畿圏在来線は年度を通じて92%で変わらずというものだ。実際には山陽新幹線は4~6月が87%、7~9月が89%と、上期の段階で90%にほぼ近づいた。好調の理由はレジャー・観光需要の回復によるものだが、とりわけインバウンドの貢献が大きいという。

一方で、近畿圏は、定期客は想定どおりで推移したが、定期外客は想定をやや下回り、定期・定期外を合算すると4~6月、7~9月ともに90%で、92%という想定には届かなかった。近畿圏の定期外はなぜ伸び悩んだのか。この点について、JR西日本は、「近距離圏はコロナ禍の時期から引き続きマイカーで移動する人が多い」とみている。

JR西日本 新快速
JR西日本の近畿圏は定期外客がやや伸び悩んだ(写真:うわじま6号/PIXTA)

ただ、近畿圏の伸び悩みを新幹線の好調が上回ったほか、電力料金が当初の見通しほど増えず、結果としてモビリティ業の営業利益は705億円となった。同事業の当初の通期計画は720億円なので、第2四半期時点で年間計画をほぼ達成したことになる。また、流通、不動産、旅行などの非鉄道事業も好調だった。

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