JR上場4社、通期予想に「上振れ余地」があるのは? 2024年3月期の収入や費用見通し、保守的な例も
通期の業績予想は期初に発表した売上高1兆5120億円から1兆5850億円に、営業利益は1150億円から1400億円に引き上げられた。モビリティ業の営業利益予想は720億円から890億円へと170億円引き上げられた。そのほかの事業の営業利益予想も180億円増加した。JR西日本は「上期の好決算をそのまま業績予想に上乗せしたイメージ」という。
下期は期初計画どおりに推移するとみているとのことだが、上期に705億円を達成したモビリティ業の営業利益は本当に下期に170億円しか増やせないのだろうか。下期には修繕費が増えるなど鉄道事業特有の事情があったにしても、山陽新幹線の10月の利用状況は上期を上回る好調ぶり。加えて、下期の電力料金も上期並みだと考えれば、営業利益のもう一段の上昇余地はありそうだ。
JR東日本は定期客回復が想定超
JR東日本の2024年3月期第2四半期決算は売上高が前年同期比116.6%の1兆2998億円、営業利益が同287.5%の1917億円だった。運輸収入の想定は期初に2019年3月期比88%からスタートし、第2四半期90%、第3四半期91%、第4四半期93%と、徐々に上昇していくというもの。通期では90%である。もう少し詳しくみていくと、定期は2024年4月に約8割、新幹線(定期外)は2023年12月に約9割、在来線(定期外)は2023年12月にほぼコロナ前の状態に戻るという想定だ。
実際には定期は会社想定を上回るペースで回復し、第1四半期の時点で81.7%、第2四半期も82.4%と上振れた。コロナ禍の最中には多くの人がテレワークや在宅勤務を行っていたが、4月以降は出社に切り替える人がJR東日本の想定よりも多かったようだ。
一方で、在来線(定期外)は4~6月は93.4%でほぼ会社想定ラインだったが、7~9月は93.2%と伸び悩んだ。猛暑の影響で近・中距離のレジャーや旅行を控える動きが出たものと思われる。なお、新幹線(定期外)はほぼ会社想定どおりのペースで推移している。長距離の移動需要は猛暑に関係なかったようだ。
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