啓子さんは西日本にある大学を卒業してから証券会社に入ったが、厳しいノルマに耐えられずに4年後には四国の地元に戻った。26歳だったが、同級生はすでに結婚している人が多くて焦りを感じたという。
「友だちに紹介してもらってお付き合いした人もいます。でも、結婚を真剣に考えてくれるような人はいませんでした。28歳のときには結婚相談所に入りましたが、10歳ぐらい年上の男性ばかりを紹介されて……。当時は『おじさんばかり』だと感じてしまいました。その方々の年齢を今の私は過ぎているのですが(笑)」
マッチングアプリで出会った男性と結婚するが…
漠然とした焦りから行動すると、「自分はそもそも何を求めていたのか」を見失ってしまうことがある。啓子さんは迷走した挙句にマッチングアプリでやたらに明るい男性と知り合う。大企業勤務の彰さん(仮名)だ。
「2歳年下で、面白いことも言ってくれる人でした。結婚前提じゃないと付き合えないと伝えたら応じてくれたんです。結婚してから彼が愛知にある本社に戻ることになり、私のほうが仕事を辞めて名古屋について行きました」
しかし、一緒に暮らし始めてからは彰さんの言動に嘘や攻撃性が目立つようになった。啓子さんは謎の胃痛に悩まされるようになるが、今から振り返るとストレスが原因だったようだ。彰さんが中国に赴任したときにそのピークに達した。
「私も一緒に行きましたが、彼は子どもをすごく欲しがったので日本で不妊治療を受けていました。流産してしまってしんどい思いをして、中国のマンションに戻ったらキッチンに私が知らない現地の調味料がたくさん置かれていたんです。彼は料理をまったくしない人なのに……」
困惑する啓子さんを彰さんは無視。さらに「君のことが嫌いになった。帰国してほしい」と要求し始めた。啓子さんは浮気を確信し、彰さんの前任者の奥さんに助けを求めた。
「彼がよく一緒に飲みに行く同僚の名前を伝えたら、カラオケバーの女の子と遊ぶのが大好きで悪名高い人だとわかりました」
彰さんは啓子さんとすでに離婚したように見せかけた書類も持っていることが判明。啓子さんは証拠写真を撮った。義憤に駆られた前任者の奥さんが社内の駐在妻ネットワークに拡散させ、彰さんの上司である部長が知るところとなった。駐在からわずか1年で帰国させられた彰さんは退職することに。離婚調停では家庭裁判所の調停員も啓子さんの味方につき、慰謝料は100万円超。自業自得である。
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