楽天証券への「みずほ追加出資」は逆張り買いか 手数料無料化で楽天証券の事業計画は視界不良

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ただ、SBIHDの北尾会長が「ナンピン」と評したように、楽天証券への追加出資でみずほも相応のリスクを負う。

最初に約20%を取得することになった22年の出資額は800億円。今回の約30%の追加取得の価格は870億円で、単純計算では1株当たりの価格が25%ほど下がっている。手数料無料化の影響が今後具体的に見えてくる中で、以前の出資分に減損リスクが生じる懸念はある。

なおみずほFGは、楽天証券の国内株式取引手数料の無料化の影響を勘案した結果、今回の追加取得価格を算出しているとIRプレゼーションの場で公にしている。
【11月17日12時50分注記】上記を追記します
 

この下半期は「時代の転換点」か

楽天証券にとって最大のライバルであるSBI証券は高みの見物を決め込む。SBIHDの中間決算説明会で北尾会長は、「楽天のIPOを邪魔するために(無料化を)やったわけではない。楽天がどうなるかはまったく意識していない」と語った。

「われわれはずっと前から(無料化の)準備をしており、手数料の減収分をオフセットできると確信している。今も新しいプロジェクトを考えている」。北尾会長はそう強調しつつ、「下半期(23年10月~24年3月)は時代の転換点になる」と予言した。

今後、注目は新規口座獲得競争がどうなるかだ。楽天もSBIも無料化発表後に新規口座が増えていると説明するが、本格的な影響を判断するにはまだ早い。松井証券など無料化に追随しなかったネット証券各社からは「顧客流出などは思ったほどの影響がなかった」との指摘も上がっている。

仮に無料化が顧客獲得に影響がなかったとすれば、楽天証券にとってはみすみす収益機会を逃しただけといったことになってしまう。無料化時代の活路をどう見いだすのか。楽天証券は正念場を迎えている。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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