楽天証券への「みずほ追加出資」は逆張り買いか 手数料無料化で楽天証券の事業計画は視界不良
無料化を仕掛けたのは、ネット証券最大手のSBI証券。その動きに楽天証券が追随した。信用取引や外国株取引の拡大で減収分を補う予定だが、収益の2割近くを占める手数料を得られなくなったことの痛手は大きかった。
手数料なしでサービスを提供し続ける反面、システム維持コストなどは従前と変わらず必要だ。減収分が、そのまま利益の引き下げ要因になってしまう。楽天証券は2023年に入ってから、同じグループである楽天カードに支払う手数料を見直すなどしてコスト削減に取り組んできた。
そうしたかいもあって営業赤字転落は免れそうだが、当初見込んでいたほどの収益性は得られず、結果的に上場時の株価が低くなってしまう可能性があった。それではモバイル事業の赤字にあえぐ楽天グループが手にする資金が減ってしまう。
今回、上場申請を取り下げたが、上場で得られるはずだった資金をみずほ証券からの追加出資で補った形だ。
楽天経済圏のうまみを狙うみずほ
「これを機にみずほは楽天証券を取り込むつもりではないのか」。ある証券会社幹部は、みずほ証券の追加出資をこのように受け止めた。
手数料無料化の発表後、ネット証券業界は再編の動きが急だ。10月にはマネックスグループが傘下のマネックス証券の株式約49%をNTTドコモに売り渡し、連結子会社から外すと決定した。楽天証券は連結から外れないものの、明け渡す資本は同程度となる。会社規模が大きいだけにインパクトはより大きなものだ。
一方、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、SBIHDとの関係を深め、SMFGが展開する個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」でSBI証券と提携している。それがみずほの危機感を高める要因の1つだ。楽天はECやカードを含めた国内最大ともされる「楽天経済圏」を抱える。みずほが楽天経済圏のうまみを最大限享受したいという狙いも透ける。
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