『会社四季報』夏号は震災影響を総力取材、企業業績への影響は?(その2)
『会社四季報』が今回、調査したところによれば、直接的な被害を受けた場所としては「工場、倉庫等」が全体の2割超と最も多いことがわかった。水資源の豊富さや平地面積の広大さを売りに、工場誘致を積極的に行ってきた東北の、日本における生産工場としての側面を、改めて認識させられたといえよう。
一方で、それら被災資産のうち、4月末時点で再開のメドが立っていなかった割合が高いのは「店舗、賃貸ビル」。最も被災が多かった「工場、倉庫等」は、4月までにほぼ9割が再開。深読みすれば、生産再開をとにかく優先したということか。端的な例が自動車関連だろう。生産正常化は今年の下期以降と見られていたが、早いところでは6月に前倒しされ、生産台数も前期並みに近づくという。
今後、復興に向け障害となるのは、やはりというべきか電力不足だ。仕入れ難は代替品でメドを付けられても、インフラの代替は困難ということか。輪番制停電は見送りとなったが、節電と回答した企業と合わせると、約4割が電力不足を障害と考えている。
サプライチェーン寸断の影響があっても、6割の企業は生産拠点や仕入れ先等を変えないとしている。だが、そのなかにも「今後、見直す必要があるかもしれない」との回答も散見され、震災を契機に企業連携のあり方、サプライチェーンの再編などが起こる可能性がありそうだ。
『会社四季報』夏号がまとめた直近決算における震災関連の特別損失ランキングの一部を以下に公開する。経常利益へのインパクトなども算定した詳細は6月13日(月)発売の『会社四季報』夏号に掲載している。
1位 東京電力 1兆0,204億円
2位 JXホールディングス 1,260億円
3位 東北電力 833億円
4位 ホンダ 737億円
5位 日本製紙グループ本社 627億円
6位 住友金属工業 620億円
7位 JR東日本 587億円
8位 七十七銀行 506億円
9位 ルネサスエレクトロニクス 495億円
10位 日産自動車 396億円
(会社四季報編集部)