旭日章スリランカシェフが捧げる日本食への敬意 「アジアのベストレストラン50」の和食伝道師

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スリランカ人の父、日本人の母を持つダルシャンさんは、幼い頃から日本文化に接する機会は多かったという。実際に家族も父が東京工業大、弟は東京農業大、妹は筑波大学へと進学している。

しかし、ダルシャンさんは兄弟で唯一日本への進学を選ばずアメリカに渡り、ジョンズ・ホプキンズ大学でコンピューター工学を専攻した。兄弟で唯一アメリカにて学んだダルシャンさんが、家族の誰よりも日本文化に惹かれていった、ということは興味深い。その1つの理由は、アメリカの食文化が合わなかったことだ、と打ち明ける。

「アメリカの食事が私の口に合わず苦労したんです。その結果、できるだけ自分で料理をして食べるような習慣がついてきて。特にアメリカにいる間は無性に日本食が食べたい、と感じる時間が多かった。母や祖母に連絡して日本食の作り方を教えてもらい、スリランカから塩も送ってもらって、秋刀魚の塩焼き、味噌汁、漬物などを作って食べていましたね」

ミニストリーオブクラブ
(写真:ミニストリーオブクラブ提供)

内定していた日本企業への就職から方向転換

卒業後は日本のIT企業で働く予定だったというダルシャンさんだが、父が急死したことで、その考えが変わった。「本当にやりたいことをやろう」という想いが強まり、内定を受けていた東京の会社に断りをいれたという。スリランカへ帰国後は、24歳の時に母と2人で和食レストラン「日本ばし」を開業し、切り盛りしてきた。

当初は一般的な家庭料理を振る舞う店だったが、ダルシャンさんの好奇心は尽きなかった。時間を見つけては単身日本へ渡り、自身のレストランに合う食材を探し求めたという。特に築地には毎年のように通い詰め、コロナ前は毎年10度ほど訪れるまでにのめり込んだ。

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