中国「独身の日セール」日本ブランド大苦戦の深刻 節約志向でセールは過去最高更新見通しだが…

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セールのお祭り感は影を潜め、アリババの社員も「これからは楽天スーパーセールのような定期イベントになるだろう」と見ているにもかかわらず、今年の独身の日セールで中国の消費者の支出額は、過去最高になる見通しだという。

アメリカのアリックスパートナーズが2000人以上の中国人消費者を対象にした調査によると、今年のセールに対する平均支出額(見通し)は前年比18%増の5500元(約11万円)だった。支出の伸び率は2022年の同5%増、2021年の12%増から一段と高くなっている。

消費者が支出額を増やそうとしている上位4カテゴリは衣料・アクセサリー(44%)、食品・日用品(42%)、「高価格帯の」美容・パーソナルケア製品(42%)、ライフスタイル・家庭用品(40%)。一方、高級ブランド品や宝飾品など「ラグジュアリー製品」の購入を増やすと回答した消費者は21%にとどまり、「減らす」「買わない」は13カテゴリの中で最も高い47%に上った。

経済減速による先行き不安を背景に、日ごろ使うものをまとめて買う節約志向が浮き彫りとなっている。

河北省の小学校に勤める女性(29)は「子どものおむつや食品をまとめ買いした。私は公務員なので景気悪化の影響を受けていないが、今年大学を卒業した弟の就職が決まらず、ぜいたく品にお金を使う気になれない」と話した。

アリババ一強時代の終焉

アリババ一強も過去のものだ。ECではアリババ、京東、そして海外で格安EC「Temu」を運営する拼多多(Pinduoduo)が三つ巴の戦いを繰り広げる。

さらに最近TikTok中国版の「抖音(Douyin)」やビリビリ動画など動画プラットフォームもECに参入し、今年は写真投稿サイト「小紅書(Red)」もセールに本格参戦した。

熱狂を演出して衝動的に買わせる時代が終わり、雇用不安が高まる中、財布のひもが固くなった消費者はプラットフォームを買い回り、少しでも安い商品を見つけ出そうとする。

アリックスパートナーズの調査によると、中国の消費者は今年のセールで平均5つのプラットフォームを買い回る見通しで、2022年の4.1から約20%増加した。同社は「消費者が購入により慎重になり、商品に関する知識を高め、合理的な買い物を追求するようになった。2021年に大流行したライブコマースのようなマーケティング戦術も効きにくくなり、購買行動がコロナ禍前の独身の日セールとは一変している」と分析した。

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