中国「独身の日セール」日本ブランド大苦戦の深刻 節約志向でセールは過去最高更新見通しだが…

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異業種によるEC参入と消費者の節約志向を背景に、EC大手は独身の日セールの戦術を一変させ、「安さ」を前面に打ち出している。

これまでの独身の日セールは、同じ商品でもクーポンの配布期間やタイムセールによって値引き率が変わるなどわかりにくく、「iPhoneならこのクーポンを組み合わせて拼多多で買うのが最安値」「でも上位機種だと京東が安い」といった情報が出回り、攻略ゲームのようになっていた。

だが今年は、新興勢の突き上げを受けるアリババが「どこよりも安く」をスローガンに掲げ、値引きの方法も大幅に簡素化した。

コロナ禍以前は各社が11月11日の1日のGMVを競っていたため、10月下旬に商品の注文受け付けを始め、11月11日に決済と配送を行う方法が主流だったが、GMVを非公開にしたこともあってか、今年は京東がいつ購入しても即時発送する制度を導入した。

今年のセールの消費額が過去最高になりそうなのは、以前は不動産や高級車を出品するなど話題作りに腐心してきたEC大手が「より安く」「よりシンプルに」とセールの本質的価値に回帰した結果とも言える。

日本ブランド「購入を減らす」

一方、「静かな大盛況」から取り残されているのが日本ブランドだ。

アリックスパートナーズの調査では、消費者の66%が中国ブランドの消費を増やす予定だと回答し、残りの12カ国・地域の製品の購入意欲が減少した。特に日本ブランドの購入を減らすとの回答は48%に上り、国別で最も高かった。

アリババによると中国向け越境ECにおける国別GMVランキングで日本ブランドは2016年以降トップを維持しており、「日本の大手ブランドはほぼすべてがアリババに出店している」(同社)ほど浸透した。特に化粧品の人気が高く、昨年のセールではKATEの「リップモンスター」が絶好調だったという。

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