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インドネシア高速鉄道、愛称「ウッス」開業後の姿

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  • 高木 聡 アジアン鉄道ライター
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このとき、ハリム駅でも商用運行開始式典が開かれ、運輸相が中国風の銅鑼を打ち鳴らす中、高速鉄道プロジェクトの中国人ダイレクターを筆頭に、多くの中国人関係者が出席した。10月2日の開業宣言では、在インドネシア中国大使が出席する以外、中国色が完全に排除されていたが、この日に限ってはインドネシア側でも中国への相当の配慮が見られた。

一方で、ジャカルタ―バンドン高速鉄道の正式名称、Kereta Cepat Indonesia China(インドネシア中国高速鉄道)は、今のところ駅や車体のロゴにこそ残っているが、それ以外の場面で公式に語られることはなくなった。

中国人運転士と翻訳アプリを使って会話するKCICのパーサー(筆者撮影)

その代わりに導入されたのが、「Whoosh」という愛称である。この愛称、インドネシア語「Waktu hemat」(時間短縮)、「Operasi Optimal, Sistem Hebat」(最適で優れたオペレーションシステム)の頭文字を取って作った造語、かつ、高速鉄道が「シュー」っと走り抜ける擬音に掛けていると公式に紹介されている。今は現地メディアも高速鉄道の表記を、「Kereta Cepat Whoosh」、または単に「Whoosh」表記に統一している。車内放送でもこのように案内されており、「Indonesia China」という言葉を極力消したいという意向が垣間見える。

開業式典に合わせ、新たに描かれた「Whoosh」のロゴ(筆者撮影)

なお、余談ではあるが、この愛称、実際には、建設現場で中国人ダイレクターを中心に好んで使っていた掛け声「ウッス!ウッス!ウッス!イェス!!」から来ていると見られている。日系メディアでは、カタカナ表記で「ウーシュ」と書かれていることがほとんどだが、乗客からの質問に対し、公式のSNSアカウントが読みは「ウッス」であると紹介しており、元ネタは掛け声である可能性が極めて高い。もっとも、仮に「Whoosh」が中国由来の言葉だったとしても、気づく利用客などほとんどいないので問題ないということだろう。

土曜の列車は4日前にすべて満席

筆者は無料試乗期間中にも乗車したが、商用運行開始後の状況を改めて見るべく、10月下旬、再びバンドンへ足を伸ばすこととした。現在、高速鉄道のチケットは、駅の券売機のほか、公式ウェブサイト、アプリなどから1週間先の列車まで予約できる。さすがに14往復もあれば少しは残席があるだろうと高をくくっていたが、土曜日の下り方面は4日前の時点ですでに全クラス満席だった。

ハリム駅の自動券売機。チケット購入のほか、ネットで購入したQRコード式チケットをここで本券に交換することもできる(筆者撮影)

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