チリのリチウム大手、豪鉱山を「高値買収」の裏側 大株主は中国企業、精錬所との相乗効果狙う

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アズール・ミネラルズの主要資産は、西オーストラリア州のピルバラ地区にあるアンドバー・リチウム鉱山の採掘権益だ。同社は鉱山運営会社の株式の60%を保有している。

アンドバー鉱山の開発は、まだ採掘前の調査段階にある。アズール・ミネラルズは炭酸リチウム換算で250万~890万トンの埋蔵量を見込んでおり、2030年の本格稼働を目指している。

SQMは現地企業と共同で、西オーストラリア州に水酸化リチウムの精錬プラントを建設中だ(写真は事業会社のコバレント・リチウムのウェブサイトより)

買収価格の高騰にもかかわらず、SQMがアズール・ミネラルズの完全子会社化にこだわったのは、同社が西オーストラリア州で進めているもう1つの大型プロジェクトとの相乗効果を生み出すためだ。

西オーストラリア州で投資拡大

SQMは2017年、同州にあるマウント・ホーランド・リチウム鉱山の採掘権益の50%をオーストラリア企業から買収し、年間5万トンの生産能力を持つ水酸化リチウム精錬プラントの共同建設に乗り出した。

本記事は「財新」の提供記事です

このプラントに十分な量の原材料を供給して稼働率を高めるため、SQMは西オーストラリア州のリチウム鉱山への投資を拡大している。

同社はアズール・ミネラルズの買収発表の2日前にも、190万ドル(約2億8480万円)を投じて資源開発会社ピラ・リチウムへの出資比率を10%から40%に高めると発表したばかりだった。

(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は10月28日

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