中国人に人気「日本の化粧品」に起きている変化 処理水問題での懸念、独身の日はどうなる?

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やむをえない措置ではあったが、11月の独身の日の大規模セールを前に、積極的にマーケティング施策が打てなかったのは、手痛いと言えるだろう。また現地のKOL(フォロワー数が多く、影響力の高いインフルエンサー)やライブ配信者が、処理水放出を受けてライブコマース上で日本の製品の紹介を避けたことも、日本のスキンケア製品に関する投稿件数の減少に影響したと推測される。

足元では、中国現地における処理水に関する報道も下火となり、日本のスキンケア製品に関しても、購入を検討する、などポジティブな内容の投稿が徐々に増えてきている。一方で、中国現地のメーカーは、秋の大型連休である国慶節(2023年は9月29日から10月6日まで)に向け、マーケティング活動を強化したことで、日本のスキンケア製品以上に、買いたい、手に取りたい、などポジティブな内容の投稿が目立った。

中国 インバウンド
中国 インバウンド

中国メーカーの勢いに押され始めているなかで、日本の化粧品メーカーは、中国市場に対して、どのような戦略を取ったほうがよいのだろうか。

日本の化粧品を買い続ける中国人消費者も

1つ目の戦略は処理水問題でSNS上でネガティブな反応が出たが、「それでも日本ブランドのほうがいい」という消費者が一定レベルでいることを認識し、そうしたユーザーに向けた戦略的なマーケティング施策を打つ必要がある、という点だ。

遡ると2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化したことで日中関係が悪化したときでも、日本の商品がほしい、手に入れたいという消費者は少なくなかった。

現在日本の商品の購入を検討するユーザーに話を聞くと、スキンケア製品に関しても「やはり今使っている日本のブランドのほうが質はよく、切り替えられない」「日本のブランドの品質がいいことは否定できない」という意見が多い。

また「自分の肌悩みに合った成分や機能を兼ね備え、その効果を実感できるのであれば、日本のブランドのスキンケア商品を購入する」というユーザーもいた。

中国の消費者の中にも「処理水とそのほかを切り離して考える層」が存在している。まずは、こうした層を取り込む必要があるだろう。

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