止まらない円安、流れを変える唯一最大の決定打 投機筋の動きを止めるには「きっかけ」が必要

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実は日本円はアジアのどの国のマーケットとも大きく異なる特徴がある。それは「自由変動相場制」であり、かつFX個人投資家など投機の影響が大きいマーケットであるということだ。

アジア各国はアジア通貨危機を経験し、投機を抑制しているので実需主導のマーケットとなっている。だが日本は違う。引き続き投機主導のマーケットだ。

投機勢は買ったら売るし、売ったら買う訳だから中長期的に見れば相場に与える影響は「無」に近いはずである。ただし短中期的なうねりを巻き起こす力はとても強い。ゆえに特に投機勢の円買いを刺激するような「テーマ」がないと、ドル円相場を円高に振れさせることは難しいのだ。

ではどういったテーマなら円高シナリオが考えられるか? アメリカと日本に分けてそれぞれ考えていきたい。

アメリカの景気は頑強

まずアメリカの景気が崩れるというシナリオについて。例えば2023年前半のSVB(シリコンバレー銀行)や地銀ファースト・リパブリック・バンクの破綻に代表されるような連鎖倒産シナリオはドル円相場への影響が大きかった。だがその後のFRBの迅速な対応や、現在の好調なアメリカの経済指標を見ている限り今後も同様のことが起こる可能性は低そうだ。

またアメリカは独自の強力なエコシステムを備えており、政策金利の引き下げが始まるまでの期間は先送りされやすい。利下げが始まったとしても、その後の利下げペースは緩やかなものとなるだろう。つまり米ドルが一方的に売られ、円安トレンドが反転するシナリオを少なくとも年内、早くとも来年の春先まではイメージしづらい。

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