新名所?スーパー「オーケー銀座店」の1つ惜しい点 「安い国ニッポン」に集まる外国人対応は?

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鮮魚が丸ごと並んでいたり、出来立ての寿司バイキングがあったり。菓子売り場にも、土産に最適な詰め合わせパックやよりどり1000~2000円コーナーがあったりと、目を引く演出が欲しいところ。

すべてが「Everyday Low Price」の理念通りとはいかないだろうが、訪日客の目に留まり、新しい銀座の訪問スポットとして発信されれば十分成功ではないか。

弁当の安さは日本の安さ

この立地にダイソーが開店した2022年、「ラグジュアリーな街である銀座に100円ショップが!」と、かなり話題になったことは記憶に新しい。100円ショップだけでなく、ユニクロにGU、ワークマンカラーズなど、低価格ブランドが銀座に店舗を構えているのは周知の通り。今回のオーケー進出で、銀座はデフレ的な低価格の街により近づいた。その「安さ」目当てに訪日客が集まるなら「安値上等」と開き直るほかない。

筆者は未知の土地でスーパーに入ると、素材よりも弁当やおにぎり・総菜類の価格をチェックするのが習慣だ。周辺住民の懐具合に合わせているため、価格変動が大きい生鮮品よりも物価の物差しに使えるからだ。

原則では、弁当価格が安いと、住人の可処分所得もそれほど多くないと考える。銀座で299円弁当が飛ぶように売れるとしたら、東京で働く人の収入がその水準だということを示しているのかもしれない。

それが現実なら、やはり日本人客ではなくインバウンド頼みになるのは仕方ない。低価格ショッピングの楽しさを打ち出すダイソーやドンキに見習い、オーケーもその一角を担ってほしいものだ。他の地域でのオーケーとは違う取り組みで、ぜひ銀座を盛り上げてほしい。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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