資格試験に受かる人の勉強は「質と量」どちら重視 「資格試験に落ち続ける人」が陥りがちなパターン

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初学者の場合、テキストに書いてある用語がそもそも理解できません。最初に読んだときは、日本語であっても意味がよくわからず、戸惑います。

その際に、用語を一つ一つ調べながら読んでいくと、読み終えるのに相当な時間がかかるはずです。

難易度が高い試験ほど範囲は広くなり、用語も難解になります。

司法書士試験や公認会計士試験は、テキスト、問題集、参考書籍をあわせると、20冊以上を使うことになります。

積み重ねると1メートル近くになったように記憶しています。

それらの本を読む際に、1冊1冊、時間をかけて丁寧に読んだらどうなるでしょう。

あっという間に月日が経ち、試験本番の日を迎えてしまうことになります。 また、じっくり読んでいると、試験範囲を一周するには相当な時間がかかります。

そのため、同じテキストを再び開くころには、一度目に理解したことはすっかり忘れてしまっているでしょう。

つまり、最初から質を優先してもあまり意味がないのです。

これは、落ち続ける人が陥りがちな、よくあるパターンです。

しっかり理解してから先に進もう、と丁寧にテキストや問題集に取り組むうち、時間をかけすぎて逆に効率を落としてしまいます。

まずは試験範囲を「一周」する

従って、最初に取れる選択肢は一つだけです。

質より量を優先し、まず試験範囲を一周することを第一の目標にすべきです。

さらに言えば、読んでもよくわからないところはそのままにし、さっさと読み飛ばしてしまうことが効率的でしょう。

量を重視するといっても、質を軽視するわけではありません。

もちろん、わからない部分が多ければ合格は難しいので、試験本番までに穴を埋めるように、自信のないところを一つ一つつぶしていく必要があります。

何度も同じ論点を勉強していると、当然ですが理解が深まります。同じようにテキストに目を通しても、用語の意味や、関連する論点が自然に思い浮かぶようになり、書いてあることが自然に頭に入るようになっていきます。

つまり、量を優先するのは、質を高めることを軽視するのではなく、後回しにするということです。

肉体労働やスポーツの練習で、時に「体で覚えろ」と指導されることがあります。自然に理解が深まっていくのは、それに近い感覚です。

同じところを10回も20回も読んでいると、次第に「いい加減もう飽きた」という気分になってきます。そうすると、一度目はさっぱりわからなかった内容でも、するすると頭に入るようになるはずです。

次ページ歯を食いしばって、まずは試験範囲を一周してみる
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