「年末年始までに日経平均3万5000円」は可能だ 「イスラエル・ハマス情勢」の影響は限定的
イスラエルとイスラム武装組織・ハマスによる、パレスチナ自治区・ガザでの戦闘が続いている。市場の不透明感はなかなか払拭されそうもないが、今後の日本株はどうなるのか。
結論から言えば、他の中東地域へ紛争が拡大しなければ、ここは押し目買いで対処したいところだ。日経平均株価は27日現在で3万1000円を割れており、予想PER(株価収益率)などで見れば割高感は解消されて来ている。前回の「今後『PBR1倍超』企業も株価上昇が期待できるワケ」(10月4日配信)でも予想したとおり、日経平均株価は「今年末か来年の2024年初に3万5000円」との見方を継続する。
米中首脳会談の可能性が一段と高まり、日本株に追い風
主な理由は以下の3つだ。すなわち①発表が本格化している3月期本決算企業の2023年度の業績上方修正期待が継続②上場企業が資本コストを意識した経営改革を徐々に加速化③11月15~17日に開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議にあわせた米中首脳会談の可能性が以前よりも高まっている、ことによる。
筆者は以前から③を重視してきたが、23日、アメリカの国務省は「中国の王毅共産党政治局員兼外相が26〜28日に首都ワシントンを訪れる」と発表した。王氏は、米中首脳会談実現に向け、26~27日に計7時間以上アントニー・ブリンケン国務長官と国防対話などを協議。27日にはジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)とも3時間ほど会った。
さらに同日にはジョー・バイデン大統領もホワイトハウスで面会。バイデン大統領は「責任を持って両国間の競争を管理する必要がある」と述べた。王氏も「中米関係の真の安定と改善は国際社会の共通の期待だ」との習近平国家主席のからの挨拶を、バイデン大統領に伝達した。
一方、24日には全人代常務委員会が李尚福国務委員兼国防相を解任した。さらに7月に外相を解いた秦剛氏を国務委員から外すことも決定しており、米中首脳会談の実現へのハードルは下がってきたとみている。日本株は「世界の景気敏感株」であり、米中トップの対話が実現すれば、海外投資家は日本株に再度強気になるはずだ。
以上を勘案したうえで、今回は直近の市場の不透明要因となっているイスラエル・ハマスの情勢に焦点を絞って、株式市場の見通しを解説したい。
まずは改めて、事件の発端からの市場の動きを簡単に振り返って見よう。ハマスがロケット弾や戦闘員の侵入によってイスラエルへ大規模攻撃を仕掛けたのに対し、イスラエルも激しい報復空爆で応じたのが10月7日の土曜日だ。
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