ムーディーズが日本国債の格付けを格下げ方向で見直し、菅政権の混乱を重視

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その後の個別の取材における、バーン氏との質疑応答の内容は以下の通り。

--確かに、実質GDP成長率は足元ではマイナスに転落しているが、復興需要で第2四半期、あるいは第3四半期以降は反転すると見られる。復興のための増税は成長には大きな問題とはならないのではないか。

短期的には景気の回復が見られると予想している。問題にしているのは、長期的な成長率であり、長期的な財政再建の可能性だ。

--人口動態に由来する長期の低成長については、かねてから織り込んでいたはず。震災後、長期の成長性に不安定性が増したと言うのは、海外からの投資が呼び込めなくなるなど、東京電力の福島第一原子力発電所の事故の影響を見たものなのか。

津波の被害が大きく、短期の電力需給やサプライチェーンの分断による経済の落ち込みも大きかったが、この影響はある程度短期間で解決に向かうだろう。だが長期的に原発の稼働が制限されれば、ただでさえ高い日本の電力コストが上昇する可能性がある。また、原発事故の影響で海外からの投資や消費が後退する一方で、日本企業が海外に出て行く可能性も高まる。これは成長にはネガティブな要因となる。

また、税制の一体改革には法人税減税などの成長戦略も含まれていたはずで、その実現も難航する状況となっている。

--小泉政権との違いについて触れたが、政治的なリーダーシップの有無が影響すると言うことか。

かつてAaaだったイタリアを格下げしたときと、状況が似ている。首相が短期間で代わり、政権が安定しない。財政再建の成功と、安定性と信頼性のある政権の枠組みとの間の相関関係は強い。小泉元首相は財政赤字の削減、銀行の再編、郵政改革と3つの明白な政策を持ち、努力した。公共投資の改革も行った。さらに、運も良かった。グローバルな経済環境がよく、日本企業が輸出で利益を伸ばすことが出来た。そのまま金融危機が起きなければ、財政再建路線は軌道に乗っていただろう。

これに対し、現在は、政策が不在で政権が安定せず、グローバルな経済環境も金融危機後の不安定で不確実な状態にある。抜本的な税財政の改革は2年ぐらい遅れ、2度目、3度目の補正予算が出て国債発行は膨らむのではないか。

(大崎 明子=東洋経済オンライン)

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