横浜地下鉄ブルーライン「延伸」は進んでいるのか 開業目標2030年、ルート概略は決まっているが

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ブルーラインの延伸について、2023年5月の「横浜市営交通経営審議会」による答申は、「延伸事業に伴う建設費の発生によって、更なる企業債の借入に伴う元利償還や開業後の減価償却負担など、経営状況は一層厳しくなることも想定される」と指摘。そのうえで、「この延伸線が開業するまでに、既設線の経営を安定化させることが不可欠である」と、延伸に向けた地下鉄事業の経営安定化を求めている。

事業の進展が見えてこないことを問う声も出ている。9月22日に開かれた川崎市議会の決算審査特別委員会まちづくり分科会では、同市が2021年度に1689万円、2022年度に約2000万円計上した「3号線延伸計画推進事業費」がどちらも執行されていないことを議員が取り上げ、「未執行という点を見ても、本事業が停滞していることがうかがえる」と指摘した。

市交通政策課の担当者によると、この事業費は駅周辺の広場や道路など基盤施設整備に関する費用で、駅の位置などがまだ示せるまでには至っていないため執行を見送ったという。両市は駅やルートについて「調査・設計の深度化」を図っており、位置などはまだ示せないとするが、これらが実際にどの程度まで固まっているのかが今後の進捗のカギだろう。

2030年開業はできる?

目立つ動きはないものの進みつつはあるといえそうな、ブルーラインの延伸事業。ただ、今後着実に進展したとしても2030年の開業目標が果たせるかどうかは見えない。一般論として、地下鉄建設は時間のかかる工事だ。例えば、路線延長は異なるものの、市営地下鉄グリーンライン(約13km)は2001年に着工、2008年3月に開業しており、実際に工事に着手してから約7年かかっている。

ブルーラインの延伸はこれから鉄道事業許可の取得などさまざまな手続きが必要で、着手までにはまだ時間がかかる。もっとも、2023年3月に開業した東急・相鉄新横浜線は予定時期を2度延期するなど、鉄道の新路線建設が遅れることは珍しくない。

ブルーラインの車両
基地に並ぶブルーラインの車両(記者撮影)

開業すれば、東急田園都市線と小田急線という東京西郊の2つの動脈を接続するとともに、現在はバスに頼っている地域住民の利便性向上や多摩地区から新横浜へのアクセス改善も期待できるブルーラインの延伸。横浜市は2023~2026年度の市営交通中期経営計画を2023年度中に策定するとしており、この中で何らかの言及がある可能性もある。はたして次の「目立った動き」はいつになるか。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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