横浜地下鉄ブルーライン「延伸」は進んでいるのか 開業目標2030年、ルート概略は決まっているが
2019年の事業化判断からルートの選定までの約1年間は着々と進んでいたブルーラインの延伸事業。だが、2023年10月下旬時点で、横浜市交通局のウェブサイト内のページ「3号線延伸取組状況」に掲載された「取組状況」は、令和2(2020)年6月の「環境影響評価手続に着手」が最新の情報だ。
2023年度も横浜市はブルーラインの延伸事業に2億856万円を計上しており、ストップしているわけではない。市交通局工務部建設改良課の担当者は、「現在は関係機関との調整や調査設計などの深度化を進めている状態。状況が示せるようになればお知らせしていきたい」と話す。ただ、これは2021年度・2022年度の「交通局事業概要」に記載されている内容とほぼ同じ状況だ。
約3年間目立った動きがないのはなぜか。横浜市と連携して延伸事業を進める川崎市のまちづくり局交通政策室の担当者によると、ルート案選定の直後に急拡大したコロナ禍、そして物価高騰が影響を及ぼしているようだ。
コロナ禍と物価高騰が影響
同担当者によると、鉄道事業許可を得るために国土交通省との調整を進めていくうえでは、最新の需要予測や事業費の算定が必要となる。だが、「コロナ禍の影響で通勤の形態が変わっており、これを需要予測に反映する必要があることと、さらに物価の上昇により(工事などの)単価も上がっている」といい、「需要と費用増についての精査と、さらにその対策の検討といった事業計画の精査に時間を要している」と事情を説明する。
全国の鉄道の例にもれず、横浜市営地下鉄の利用者数はコロナ禍で大幅に減少した。横浜市の統計書によると、ブルーラインの1日平均乗車人員はコロナ前の2018年度が約54万8000人だったのに対し、2020年度は約39万8000人に。2022年度は約47万8000人と回復が進んだが、コロナ前比では10%以上減っている。
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