イスラエルとハマスの衝突後に株価はどう動くか 過去の大規模衝突の場面の株価推移を振り返る

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歴史的に見ると、国際石油資本(通称:石油メジャー)が原油の採油、輸送、販売や化学までを支配する時代が続いていました。石油メジャーが供給を支配していたのです。これに対して、1960年に中東産油各国が生産量の決定に発言力を持つため、石油輸出国機構(OPEC:オペック)を結成しました。そして時代の流れとともに、その発言力が強まってきたのです。

第4次中東戦争の際には、OPECはアメリカをはじめとするイスラエル支持諸国に石油輸出を禁止するという「石油戦略」を発動しました。これがオイルショックにつながり日本の株安、景気後退につながりました。

「日本株の大きな下げにはつながらない」

これまで、イスラエルとハマスとの間の軍事衝突と中東戦争のそれぞれの場面での、日経平均株価の騰落率を見てきました。今回改めて確認できることは「イスラエルとハマスとの間の衝突に関しては日本株の大きな下げにはつながらないこと。しかし、中東戦争のように国家間の戦争に発展すると、原油の供給不安からも株安の傾向になること」が示されました。

アラブ諸国はイスラエルとの国交の正常化という時代の大きな流れがあります。

イスラエルは1974年にエジプトと、1994年にヨルダンと国交正常化させた後は、なかなか、正常化が進みませんでした。しかし2020年にUAE(アラブ首長国連邦)・バーレーン・スーダン・モロッコの4カ国がイスラエルとの国交正常化に同意しました。

今回の軍事衝突で、凍結してしまったと報道されていますが、サウジアラビアもイスラエルとの国交正常化に向けた流れがあります。こうしたなか、足元の金融市場の動きからは、今回の衝突はこれまでのような中東戦争にまで発展するとの懸念は限定的のようです。衝突の今後の早期解決が期待されます。

吉野 貴晶 マネックス証券チーフ・マーケット・アナリスト 兼 マネックス・ユニバーシティ 投資工学研究学長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、国内系運用会社で投資工学開発センター長を経て、現職。社会人として歩みを始めて以来、一貫してクオンツ計量分析、データサイエンス、AI(人工知能)を活用した証券市場の分析に携わる。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(青山ビジネススクール)にて客員教授、学術フロンティア・センター特別研究員。経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。博士(システムズ・マネジメント)。日本ファイナンス学会理事、日本金融・証券計量・工学学会(JAFEE)理事。2025年9月より現職。

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